『ぼくの名前はズッキーニ』(2016年) #MOVIX京都 #ストップモーションアニメ | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

HALUの映画鑑賞ライフのBlog

~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

もう1ヶ月以上も前に劇場鑑賞に行った作品ですが、あくまでも私の備忘録的に本ブログに投稿し、記録に留めさせて頂きたいと思います。

 

昨年度の第89回アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされたフランスとスイスの合作のストップモーション・アニメーション作品で、世界各国の映画祭で大絶賛された作品であり、あの日本のアニメ映画『この世界の片隅に』の片渕須直監督も、激賞されて、かなり推してられるアニメ映画という事もあり、今年の2/15(木)にレイトショーで『デトロイト』を鑑賞に行き、深夜遅くに帰宅した、明くる日の翌日2/16(金)の朝一番に、ちょうど母親をガン治療の為の送迎にクルマで送って行った合間の時間を利用して観る事が出来る時間帯の映画を観ようと思案していましたところ、この『ぼくの名前はズッキーニ』が吹替版ではありましたが、朝9:15から上映時間が僅か約66分間の上映時間でしたので、新京極の繁華街のシネコン・MOVIX京都での1人での鑑賞は本当に久し振りで、パニック障碍持ちの私の場合、かなり緊張しましたが、頑張って劇場鑑賞に赴きました。

 

 

「子供を取り巻く問題をシニカルに描いた傑作(18.2/16・吹替版)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:MA VIE DE COURGETTE

製作年/国:2016年/スイス=フランス

配給:ビターズ・エンド=ミラクルヴォイス

公式サイト:http://www.boku-zucchini.jp/

上映時間:66分

公開日:2016年2月10日(土)

監督:クロード・バラス

 

日本語吹替版キャスト:

峯田和伸(ズッキーニ)、麻生久美子(カミーユ)、リリー・フランキー(レイモン)、浪川大輔(シモン)、早川舞、ちふゆ、小若和郁那、赤坂柾之、実川貴美子、熊谷海麗、松本沙羅、引坂理絵、宮本誉之

 

 

【解説】

母親を亡くし孤児院に入れられた少年が周囲の人々との関わりの中で成長していく姿を描き、第89回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネートされたフランス&スイス製ストップモーションアニメ。

アルコール依存症の母親と2人きりで暮らす9歳の少年ズッキーニ。

ある日、ズッキーニの過失によって母親が死んでしまう。

親切な警察官に保護されて孤児院で暮らすことになった彼は、新たな環境の中で自分の居場所を見つけるべく悪戦苦闘する。

 

フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で長編部門の最高賞にあたるクリスタル賞と観客賞をダブル受賞。

 

日本では、東京アニメアワードフェスティバル2017の長編コンペティション部門に出品・上映され、優秀賞を受賞している(映画祭上映時タイトル「ズッキーニと呼ばれて」)。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

▲毎月の母のガン治療の為のクルマでの送迎の待ち時間を利用して、新京極のMOVIX京都まで、御池地下駐車場にマイカーを止めて、朝一番の吹替版の9時15分からの上映回に、本当に久し振りにお1人様鑑賞にて観て来ました。

 

前述した通り、昨年度(2016年度)・第89回アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされたフランス&スイスの合作のストップモーション・アニメーション作品であり、世界各国で大絶賛された本作品。

 

これが長編デビューとなったアニメ作家のクロード・バラス監督。

 

 

ともすると実写映画でも製作出来そうな話ではありましたが、殊の外お話しの内容がハードで重たいため、監督は、こういった問題を実際に抱えている子供達にエールを送るつもりで作ったのではないかとも思いました。

 

それならば、デフォルメされた人形アニメの方が子供達には取っ付きやすいかもしれないと考えたのではとも単純に考えたりしました。

 

 

児童虐待や性的虐待、育児放棄(ネグレクト)にイジメ問題に加え、昨今では移民問題など、児童を取り巻く問題は世界共通。

 

 

屋根裏の窓から凧揚げをしながら、母親が空けたビール缶をタワーの様に積み上げるズッキーニ。

 

 

まさにズッキーニは育児放棄(ネグレクト)状態だったのですが、或る日不慮の事故で母親を亡くした彼は孤児院に連れて行かれるのでした。

 

 

当初は所持品の大切な凧を取り上げられたりと、通り一遍のイジメに遭いながらも似たような境遇の仲間達と次第に打ち解けていき、自分の居場所を見付けていくのでした。

 

 

スキー合宿でのポール先生DJのダンスパーティーでのクロマニヨン人ダンス、雪山での雪合戦、仮装パーティー、そして初めての恋。

 

 

 

 

独りぼっちで、屋根裏部屋で遊んでいた当時のズッキーニはもうここには居ない。

 

 

また、この映画は何も単にズッキーニだけを描いているのではない。

 

手が震えてしまっている子、毎晩オネショをしてしまう子、孤児院・フォンテーヌ園の近くにクルマが来る度に「ママ!?」とドア開けて辺りを見回す子。この孤児院の子供達も皆やっぱり問題を抱え、家族の温もりが恋しいのでした。

 

 

フォンテーヌ園の心優しき問題児であたかも「ドラえもん」におけるジャイアンの様な、皆のリーダー役のシモンに至っても眠る時は指しゃぶりをしちゃうし、母親からの手紙がないとすごく悲しそうでした。

みんなをついついイジメちゃうのも寂しさの裏返しなのかも知れないですね。

 

 

スッキーニにしても、ズッキーニの母親には問題があったにせよ、本名の<イカール>ではなく、その母が付けてくれたニックネームの<ズッキーニ>と呼ばれたいと拘る辺りからも、決して自分の母親を嫌っていた訳ではない。

 

この<ズッキーニ>というニックネームは何故に野菜の名前なのかと不思議に思っていたら、検索エンジンサイトで「ズッキーニ」と検索していたら、<LGBTのセクシャリティマイノリティ用語>の中の言葉に行き当たり、要は、クィアプラトニックな関係(即ち、恋愛関係ではないが、より親密で感情的な絆が存在する)にいるパートナーのことを指す言葉らしく、謂わば、恋人未満友達以上みたいな間柄をいうらしく、母親が名付けた理由はここでは解りかねますが、劇中での比喩としては、ここに由来するのでは勝手乍ら推察致しております(汗)。

 

 

そう思えば、本作でも随所に、SEXネタの性の芽生えを繊細に織り込みつつ脚本化したのが、セリーヌ・シアマ(『水の中のつぼみ』、『トムボーイ』の監督&脚本担当)というのも頷けますね。

やはり<性>の隠し味があることが、大人にとっては噛み応えのある作風に繋がっていたのでしょうし、日本にももっとこんな大人が観ても堪えうるアニメ作品が増えて欲しいですね。

 

 

本質的な、アニメーションの技巧的な面では、『コララインとボタンの魔女』、『KUBO/二本の弦の秘密』のスタジオライカや、イングランド製の『ウォレスとグルミット』のアードマンらのアニメーション技術には到底敵わないとしても、本作品は、素朴な作りとお話しの無い様で、温もりを与えてくれていたアニメ作品だと実感致しました。

 

この作品からは、子供達に寄り添う目線に立ったクロード・バラス監督の優しさを感じましたし、また安易な解決を与えないラストも問題意識の高い欧州映画らしさを感じました。

 

 

私的な評価としましては、

人形アニメのストップモーション・アニメーションの技巧的な意味合いでは、『KUBO/二本の弦の秘密』などのスタジオライカや『ウォレスとグルミット』といったイングランドのアードマンらには到底敵わないにしても、本作は、そもそも子供達の演技を参考に創り出された人形アニメの映像と台詞がとても真実味を帯びていて本当に愛おしくなってきましたし、性の芽生えのくだりや児童虐待などの数々の諸問題の非常に重い主題の内容的な点からも、子供よりもむしろ大人向けのアニメと思えるほどでしたね。

昨今のストップモーション・アニメーション映画では『KUBO/二本の弦の秘密』も良かったですが、この『ぼくの名前はズッキーニ』も、あの片渕須直監督が激賞・絶賛されて推しておられる作品である事からも中々の力作でしたし、僅か66分間で、これだけの訴求力を発揮するのは至難の業だと思いました。

従いまして、五つ星評価的にも、ほぼ満点の四つ星半の★★★★☆(90点)の評価も相応しい作品かと思いました。

 

子供を取り巻く虐待などの諸問題と言った、殊の外パンチの効いたハードで重い主題の内容ですから、一瞬たじろぐんでしまいそうになりながらも、この人形アニメの可愛らしさ、愛おしさから、更に、切なさも増しますが、性の芽生えのくだりなどシニカルな笑いも振りまき、その皮肉さを通り超して、逆に温かい気持ちにもなってくる凄く愛おしくなる映画でした。

 

子供達よりも、むしろ多くの大人達に鑑賞して欲しい作品でした。

 

私も機会があればもう一度今度は日本語字幕版で観てみたいです!

 

●映画『ぼくの名前はズッキーニ』予告編

 

 

 

●映画『ぼくの名前はズッキーニ』日本語吹替版本編映像

 

 

 

 

 

 

 


朗報!京都・出町座さんでセカンド上映が決定しています!

来たる、4/14(土)より字幕版も吹替版も予定との事ですので、この機会に是非多くの映画ファンの御方々にもご覧頂ければと思っています。

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。