『羊の木』(2018年) #イオンシネマ京都桂川 #吉田大八 #錦戸亮 #松田龍平 #木村文乃 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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約1ヶ月少し前の公開2日目の2/4(日)に、イオンシネマ京都桂川にて、『スリー・ビルボード』とハシゴ鑑賞した、邦画『羊の木』について、ようやくながらですが記事にさせて頂きたいと思います。

 

もう既に、先日の3/9(金)を以て上映終了しているシネコンも多い事かとは思いますので、今更ながらブログ記事化する必要もないかも知れないですが、あくまでも私の備忘録的に記録に残させて頂こうかと思います。

 

 

「息つくのを忘れるほどの不穏な空気感・緊張感の連続(18.2/4)」

ジャンル:サスペンス

製作年/国:2018年/日本

配給:アスミック・エース

公式サイト:http://hitsujinoki-movie.com/

上映時間:126分

公開日:2018年2月3日(土)

監督:吉田大八

キャスト:

錦戸亮、木村文乃、北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中珉、松田龍平、中村有志、安藤玉恵、細田善彦、北見敏之、松尾諭、山口美也子、鈴木晋介、深水三章

 

 

【解説】

「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が錦戸亮を主演に迎え、山上たつひこ原作・いがらしみきお作画の同名コミックを実写映画化したヒューマンミステリー。

寂れた港町・魚深にそれぞれ移住して来た6人の男女。

彼らの受け入れを担当することになった市役所職員・月末は、これが過疎問題を解決するために町が身元引受人となって元受刑者を受け入れる、国家の極秘プロジェクトだと知る。

月末や町の住人、そして6人にもそれぞれの経歴は明かされなかったが、やがて月末は、6人全員が元殺人犯だという事実を知ってしまう。

そんな中、港で起きた死亡事故をきっかけに、町の住人たちと6人の運命が交錯しはじめる。

月末の同級生・文役に木村文乃、6人の元殺人犯役に北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平と実力派キャストが集結。「クヒオ大佐」の香川まさひとが脚本を手がける。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

「過疎化が進む魚深市にやってきたのは、6人の元殺人犯だった。」

 

今作を観る際の事前情報は、再三、劇場での予告編で観た、ただそれだけでした。

過疎化が進む北陸のとある市町村の過疎対策と元受刑者の社会復帰とを同時に叶える行政施策としては、一見すると、まさに一石二鳥の計画かと思えました。

 

 

しかし、「この人たちは殺人を犯したことがある。」という情報だけで、これほどまでに人は恐怖を感じてしまうのかと正直驚かされました。

決して目の前で人を殺害しているのを見た訳ではないし、もしかしたら冤罪の可能性だってあるはず。

 

 

それでも、元殺人犯という情報だけで「この人はもしかしたらまた何か大変なことをしでかすかもしれない」という不穏な空気感や緊張感を生むといった演出の仕方が実に巧みだと感じました。

 

 

少し<普通>とは違うかも知れないという<違和感>が至る所に散りばめられていて、不安を煽って来る。

約2時間ずっと手に汗握る展開は、その恐怖感の源泉が<偏見>や<思い込み>によって生み出されているのかも知れないと考えると余計に不気味に感じてしまいます。

 

 

元受刑者役の俳優陣の方々は、台詞自体もそんなにも多くないのに、表情や仕草などで、不気味で怪しい雰囲気を醸し出していたり、彼ら一人一人が何かを抱えているのが伝わってくるので、この<違和感>を絶妙に演じていて本当に凄いと感じました。

 

 

そんな個性の強い人達の中で、過去の映画出演作品の『県庁おもてなし課』(2013年)での高知県の県庁職員役で好演された実績や、得意のギターの腕前を買われての起用だったのかも知れないですが、ごく<普通>の<平凡>な市役所職員の月末一(つきすえ・はじめ)役として、錦戸亮さんもその存在が埋もれる事もなく、ごく自然体風に演じてられていて、素晴らしかったと思いました。

 

 

市役所職員として、また、パーソナルな面、いち個人的な市民的な関わりという点においても、月末が感じる元受刑者達に対する心情も、しっかりと表現されていたと思いました。

 

 

▲※尚、映画のポスターやリーフレットには、左上に、木村文乃さんの写真も一堂の中に大きく載っていますが、木村文乃さん演じる石田文役は、月末役の錦戸亮さんの同級生役というだけで、決して元受刑者の殺人犯の一人ではありませんので勘違いの無きように(笑)。

 

 

 

元受刑者の中では、杉山役演じる、北村一輝さんが、同時期に公開中の『今夜、ロマンス劇場で』でのコミカルな看板俳優の役どころとは180度異なる、何かを企むような怪しい役柄を演じられており、何かが起こるのではないかとハラハラドキドキさせられました。

 

 

 

そんな中、特に、宮越役の松田龍平さんが、その独特な、死んだ魚の様な目をして、昨年公開の『散歩する侵略者』の時の様に、一体何を考えているのか解らないという様な不穏な空気感を色濃く醸し出していて凄かったでした。

 

▲主役の月末一の父親・月末亮介役の北見敏之さんは実に役得でしたね。

 

 

また、元女性受刑者の太田理江子役の優香さんが、信じられない位に艶っぽくて、本当に、エッチくさい、エロい演技を魅せてくれて驚かされましたね。

 

 

当初は原作漫画ありきとは全く知らなかったのですが、映画鑑賞後に、元受刑者役が原作では11人のところを6人にまで絞った点は良かったとも思ったのですが、大野役演じる田中珉さんとクリーニング店・店主役の安藤玉恵さんや、福元役の水澤紳吾さんと理髪店・店主役の中村有志さんのパートなどは良い逸話として機能していましたが、栗本清美役の市川実日子さんに至っては、謎っぽいシャーマニズム信奉者的な存在としての役割以外に機能していないのが勿体なかったかも。

 

 

 

 

ですので、もう少し元受刑者達の過去や現在の心情が深く描かれていると良かったとも思える反面、しかしながら、浅くしか解らないからこそ、一体何を考えているのか解らないという恐怖感を醸し出している点が逆に奏功した作品だったのかも知れないとも思えました。

 

サスペンスなので、絶対に何か不測の事態が起こるのは当然解ってはいましたが、後半は本当に衝撃的な展開で圧倒されましたね。

 

 

冒頭に映し出される<羊の木>の東タタール旅行記の一節にせよ、或いは、何故に6人の元受刑者に対して、羊の木の絵の中の木に生っている羊は5匹なのかなど、宗教的な知識の素養があればもっと深く観る事も出来たのかも知れないですが、それは特段に興味の範囲外ですので、解らぬままでも良いかと思っています。

 

 

宗教的な知識については難しい事は解りませんが、日本が誇る、あの世界的なアイドルの<きゃりーぱみゅぱみゅ>も面白かったと絶賛している位の作品ですから、私も面白い映画だと思います(苦笑)。

 

 

<のろろ祭り>という架空の奇祭もおどろおどろしくて気味が悪かったのも相俟って、得も言われぬ恐怖感も高まる一方だったのですが、この奇祭も、あの様なオチの付け方の為には必要不可欠だったのかも知れないですね。

 

 

私の場合には、エンディングロールの最後の最後で、あのギャグ漫画「がきデカ」の山上たつひこ先生と、漫画「ぼのぼの」の、いがらしみきお先生による漫画が原作だったのを知った次第でしたので、そもそも原作ありきの作品とは知らなかったので、本当に良く出来た映画だと感心して観ていました。

 

私的な評価と致しましては、

この映画も、同じ日に鑑賞をした『スリー・ビルボード』と同様に<赦し>も主題のひとつにした作品だとは思うのですが、第90回アカデミー賞を争った『スリー・ビルボード』よりも、この邦画の作品の方が私的には面白かったですし、そもそも原作ありきの作品ですが、長編の原作漫画の内容を大幅に改変した上で、最後まで緊張感を持って観る事が出来ましたので、五つ星評価的にも四つ星半の★★★★☆(90点)も相応しい作品かと評価する次第です。

 

●映画『羊の木』予告編

 

 

 

 

▲目黒役の故・深水三章さん(左)と杉山役の北村一輝さん。

 

※尚、この作品が、名脇役の深水三章さんの遺作になられたとの事。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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この度、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」みんなの感想キャンペーンにも、見事当選しました。

今回も、ウォルト・ディズニー・ジャパンさん。

抽選に当選させて下さり本当に有り難うございました。

幸い、TシャツはLサイズでちょうど良い寸法ですので、早速、部屋着に使用させて頂きますね(^^)v

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。