『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年) #アカデミー賞 #作品賞 #ギレルモ・デル・トロ | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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未だブログ記事化していない鑑賞済みの作品が他に5本もあるにも関わらず、取り急ぎ、今作品のブログ記事を書きたくてウズウズしていましたが、昨日の日本時間3/5(月)に開催された、第90回アカデミー賞授賞式の結果を知ってから書こうと思っていました。

 

 

そのアカデミー賞ですが、本作品は、2017年にヴェネチア映画祭で金獅子賞という最高賞に輝いてはいたものの、アカデミー賞自体は、過去の89回の歴史において作品賞のオスカー獲得の作品の傾向としては、社会派ドラマや実話ドラマ重視で、過去には一度も、SFやモンスター映画が作品賞を受賞した実績がない中、今年は『スリー・ビルボード』か若しくは『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』が作品賞を受賞するのが順当であり、万が一良くてもギレルモ・デル・トロ監督の監督賞の受賞くらいかと思っていました。

 

 

 

 

ところが、アカデミー協会会員の良心が働いたのか、画期的な結果を生み、なんと、ギレルモ・デル・トロ監督の監督賞のみならず、まさかの半魚人によるモンスター映画であるにも関わらず、作品賞の受賞という快挙!おまけに美術賞、作曲賞も受賞し、最多4冠という結果。

 

 

ギレルモ・デル・トロ監督!そして「シェイプ・オブ・ウォーター」の製作に関わったスタッフ、キャストの皆さん。製作・配給の20世紀フォックスサーチライト社さん。この度は、本当におめでとうございます!

 

▲『スリー・ビルボード』と本作のアカデミー賞作品賞などを争った両作品ともに、20世紀フォックスサーチライト社が製作・配給されている点も凄いですよね!

 

 

「孤独な女性清掃員と半魚人との恋愛譚(18.3/2・字幕版)」

ジャンル:SF/ラブ・ストーリー

原題:THE SHAPE OF WATER

製作年/国:2017年/アメリカ

配給:20世紀フォックス映画

公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/

上映時間:124分

公開日:2018年3月1日(木)

監督:ギレルモ・デル・トロ

キャスト:

サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョー^ンズ、マイケル・スタールバーグ、オクタヴィア・スペンサー

 

R-15+

 

 

 

【解説】

「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロが監督・脚本・製作を手がけ、2017年・第74回ベネチア国際映画祭の金獅子賞、第90回アカデミー賞の作品賞ほか4部門を受賞したファンタジーラブストーリー。

1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。

イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。

幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。

そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。

「ブルージャスミン」のサリー・ホーキンスがイライザ役で主演を務め、イライザを支える友人役に「ドリーム」のオクタヴィア・スペンサーと「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンス、イライザと“彼”を追い詰める軍人ストリックランド役に「マン・オブ・スティール」のマイケル・シャノン。

 

第90回アカデミー賞では同年最多の全13部門にノミネートされ、作品、監督、美術、音楽の4部門を受賞した。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

公開2日目の3/2(金)に、滋賀県草津市のイオンシネマ草津にて、傘寿(80歳)を過ぎた父親と一緒に、『空海KU-KAI』を観るのを変更し、ひと先ず、予てからの大ファンのギレルモ・デル・トロ監督のアカデミー賞最有力候補作の本作品を鑑賞。

 

 

 

 

『パンズ・ラビリンス』や『ヘルボーイ』シリーズなどのギレルモ・デル・トロ監督らしく異形愛溢れるダークファンタジックな半魚人という異形のモンスターと孤独な女性とによるラブ・ストーリー。

 

 

ギレルモ・デル・トロ監督流にアレンジしつつ、『美女と野獣』や『ノートルダムの鐘』の様な異形の男性と、社会から孤立した女性との繋がりを描きながら、決して、ディズニー映画の様に、単なる綺麗事に終わることなく、ディズニー映画では描けない、謂わばアンチテーゼである<大人のお伽話>として、大人の女性の自慰行為の描写などをはじめ性欲の描写についてもしっかりと触れている点も好感が持てました。

 

 

その意味合いでも、毎朝の日課の様な女性の自慰行為のシーンや、軍人ストリックランド(マイケル・シャノン)のSEXシーンにボカシを入れてでも、たとえR-15指定のレイティング規制を受けてでも、アクセントとして必要不可欠な生々しい描写だったのかも知れないですね。

 

そもそもはR-18指定の、所謂、18禁の作品だったところを、興行的な事も勘案し、SEXシーンにボカシを入れる事により、R-15指定のレイティング規制に収まったらしいのですが、ボカシ部分は単にマイケル・シャノンのオッサンのケツに白いボカシを入れているだけで、作品の質自体を落とすこともなく済んだと思われました。

 

※ただ、そう言う意味合いでは、こういった性描写のシーンも大なり小なり3箇所ほどありますので、未だ15歳を過ぎたばかりのお子さんとご一緒での鑑賞は、かなり気まずい雰囲気になること間違いないので、その点は、要注意かも知れないですね。

 

 

またヒロイン自身も若くもなく、また取り立てて美人でもないという点も共感を呼ぶ設定となっていたかと思いましたね。

 

▲『ヘルボーイ2/ゴールデン・アーミー』の水棲人エイブ・サビエン

 

もちろん、本作のインスピレーションの大元は、モンスター映画『大アマゾンの半魚人』(1954年)というのは明らかですが、『ヘルボーイ2/ゴールデン・アーミー』(2008年)にて水棲人エイブ・サピエンの恋物語を描いた時に既にこの構想が部分的にも具現化していたのかも知れないですね。

 

 

 

 

また、異種間の恋愛譚は今の時代をよく反映しています。

この異種間の愛情もそうですが、<彼>の生命を救おうと協力し合う仲間が、主役の失語症の女性(障碍者)、同僚の黒人女性、友人の同性愛者(ゲイ)、そしてユダヤ人の科学者といった、謂わば、社会的に虐げられている人達というのも、人種差別が横行し、右傾化していく現代社会への警鐘とでも垣間見られる事からしても、今回、米ソの冷戦時代の1962年を舞台設定にしたのは的確だったとも言えるでしょう。

 

 

 

 

異形愛、怪獣愛、映画愛、音楽愛などと言った抽象的な解釈で申し訳ありませんが、様々な要素が詰め込まれた作品であり、観ていて飽きが来なかったですね。

 

 

ダークファンタジックな恋愛譚でありながら、コメディな要素やミュージカル的な側面さえも持ち合わせる実に欲張りな映画。

 

 

 

当初のおぞましい半魚人がやがてはイケメン風にも見えて来る映像マジックは、ギレルモ・デル・トロ監督自身が、撮影の度に、女性受けする様なクリーチャーへと特殊メイキャップに徐々に変更を加えていった成果らしく、本当に異形愛・怪獣愛に溢れる監督だとつくづく感じさせられましたね。

 

また、それに併せるが如く、当初は、単なる女性清掃員としか見えなかったイライザ役のサリー・ホーキンスが、徐々に魅力的な女性にも見えて来るのも不思議なものでしたね。

 

 

 

 

 

また異種間の愛を繋ぐコミュニケーション手段に<手話>を用いた演出も素晴らしいアイデアでしたね。

会話に何不自由のないはずの軍部や研究者たちの風通しの悪さは何よりも滑稽で、対比して観るのも面白かったですね。

 

 

 

 

何よりも俳優陣が全員演技が達者で驚かされました。

台詞がない表情と仕草のみで演技しなければいけない難しい役どころを演じ切ったイライザ役のサリー・ホーキンスは当然ながら、いつも様々な作品の中で、誰かをサポートする黒人女性の役柄としても蔭ながら協力してくれる役どころとして今作でもゼルダ役のオクタヴィア・スペンサーや、隣人で同性愛者ゲイの画家ジャイルズ役のリチャード・ジェンキンスといった名脇役の存在感も流石でした。

 

 

 

また加えて、マイケル・シャノンが、軍人ストリックランド役として徹底したヒール役を演じているのも今作の見所でもあるかも知れないくらいの迫力の演技でした。

 

そして、何よりも『ヘルボーイ』シリーズで水棲人エイブ・サビエン役も演じたダグ・ジョーンズが演じる半魚人のコスチュームを着用しての特殊メイキャップによる、実に愛おしく見える演技も見所のひとつでしたね。

 

 

 

映画の内容的には、見方によっては、ご都合主義的にも感じなくもないですが、ギレルモ・デル・トロ監督でなければ描けなかったであろう世界観には感服する他ないですね。

 

 

『シェイプ・オブ・ウォーター(=水のかたち)』とは、水は容器の形によって柔軟にその姿を変える。カチンコチンに固まっている物は自らの形状を容易には変えることは出来ないとの、謂わば、思考の柔軟性を説いたメッセージを込めたタイトルなのかも知れないですね。

 

私的な評価と致しましては、

ギレルモ・デル・トロ監督の異形への愛情溢れたラブ・ストーリー的な作品であるばかりでなく、監督の映画愛、音楽愛などあらゆる要素を詰め込み、更に、所謂、米ソの冷戦当時から社会的に虐げられて来た人達に対する人種差別感が横行し右傾化していく現代社会への警鐘や批判をも込めた作品にもなっており、その独特なダークファンタジックな世界観を駆使して描写している点も素晴らしいと思いました。

 

従いまして、やや贔屓目に見ている面もありますが、五つ星評価的には、文句なしの★★★★★(100点)満点評価の五つ星に値する評価が相応しい作品かと思いました次第です。

 

ただ、第90回アカデミー賞の受賞という栄誉とは関係なく、贔屓目に見ている面もありますが、本当に素晴らしい出来栄えの映画かと思いましたので、是非とも多くの御方々に観て頂きたい作品です!

 

●『シェイプ・オブ・ウォーター』日本版予告編

 

 

 

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●第90回アカデミー賞授賞式の受賞結果

 

 

 

◎日本人初のメイクアップ&ヘアスタイリング賞の受賞

 

 

『ウインストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』のチャーチル英国首相役のゲイリー・オールドマンの特殊メイキャップを担当した、辻一弘さん(京都府京都市出身・1969年生まれ=48歳)が3度目のノミネートで初のオスカーを手にされました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。