『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年) #湯を沸かすほどの熱い愛 #イオンシネマ京都桂川 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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まだ感想をUPしていない観賞作品もある中、順番が前後しますが、その年の邦画界の映画賞レースを占うにあたり、最も選考時期が早い、2016年度・第41回報知映画賞に、この度、作品賞、主演女優賞(宮沢りえさん)、助演女優賞(杉咲花さん)、新人賞(中野量太監督)の4賞を受賞した、映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の感想を取り急ぎUPしたいと思います。

 

「お母ちゃんは、赤い花が好き!(16.10/30・劇場)」

ジャンル:人間ドラマ

製作年/国:2016年/日本

配給:クロックワークス

公式サイト:http://atsui-ai.com/

上映時間:125分

公開日:2016年10月29日(土)

監督:中野量太

出演:宮沢りえ、杉咲花、篠原ゆき子、駿河太郎、伊東蒼、松坂桃李、オダギリジョー、遥、松原菜野花、江藤修平、三浦景虎、田中壮太郎、りりィ、安藤聖、泉光典、高木悠未、西田薫子、木村知貴、小澤雄志、新井郁、田中えみ、田中佐季、辻しのぶ、中谷仁美、佐藤真子、鈴木士、住田萌乃、鈴、関口智樹ほか

 

 

 

 

 

遡ること、10月30日(日)の公開2日目に、イオンシネマ京都桂川にて観賞。

 

率直な感想としましては、

涙がホロリどころか涙腺崩壊状態で、本当に涙を拭う物なしでは観ていられないほどの感動作でしたが、単なるお涙頂戴物にせずに、人情味溢れるコミカルな素の演技に笑いを込めた余命宣告物の終活の映画であり、昨今のイジメ問題や児童の育児放棄(ネグレクト)問題などの社会問題をも包括した、実に深い内容の作品でしたね。

 

 

京都府京都市出身で、(お笑いコンビのブラックマヨネーズの吉田敬さんとも同級生らしく)、自主製作映画の『チチを撮りに』が国内外の映画祭で評価された、中野量太監督の商業用長編映画デビュー作であり、今作で主演の宮沢りえさん扮する双葉(ふたば)という大きな母性を持った<おかあちゃん>が余命2ヶ月との宣告を受けながらも、絶対にやっておくべき4つのことを実行していく姿を描いた涙腺崩壊必至の感動的な家族ドラマ。

 

 

これまで数々の映画賞で主演女優賞を受賞しておられる、宮沢りえさんほどの、謂わば大女優さんならば、企画やスタッフを自由に選べる立場だというのに、『紙の月』以来の主演作品に、商業用メジャー初作品の新人監督の、しかもオリジナル脚本を選んだという点には拍手を送りたいですね。

誰もが守りに入って無難な大作映画などにのみ出演しがちなところを、あえてリスクを恐れずに果敢にチャレンジしていく、この姿勢こそが、主人公の双葉(ふたば)の生き様とも重なる部分が見受けられましたね。

 

逆説的にみますと、この作品が、そこまでして、宮沢りえさんが主演を熱望なされるように魅了する脚本自体を書かれた中野量太監督のセンスが実に輝るお話しだったとも言えるのかも知れないですね。

 

 

お話しの流れ的には、

家族経営の銭湯・幸の湯から大黒柱の夫(オダギリジョーさん)が失踪し、娘(杉咲花さん)は学校でのイジメで現実逃避気味。

銭湯は休業状態でしたが、双葉は、持ち前の強さと明るさで、パートをしながら生計を立てていたのでした。

そこへ更なる問題が降りかかる。

双葉自身も余命幾ばくもない末期のガン患者だという現実を知らされ、残された時間を用いて、家族を再生させ問題解決を図るべく、絶対にやっておくべき4つのリストに挑むのでした。

といったお話しでした。

 

お話し的には、とんでもない悲劇的なエピソードの連続なのですが、単なるお涙頂戴物にせずに、力技ともいうべきか強引にでも大団円にしようと図る逞しさには勇気づけられましたね。

 

 

ただ細かいことを言えば、脚本に不満点がない訳でもなく、双葉の夫であるお父ちゃん(オダギリジョーさん)は、あまりにも人が良すぎだし、どんなに思い詰めていようと、教室であんなことをする高校生の女の子(杉咲花さん)はいないだろうし、ヒッチハイカーの拓海くん(松坂桃李さん)の描写は唐突過ぎるし浅過ぎる感も無きにしも非ず。

 

 

しかしながら、そんなことはどうでもいいかと許してしまうほどに、宮沢りえさん扮する双葉というお母ちゃんの熱い愛情には圧倒されましたね。

 

 

学校内でのイジメ問題、児童の育児放棄(ネグレクト)問題など、現代社会のいくつもの社会問題をも包括しながらも、余命幾ばくもない中、終活問題に取り組んでいく主人公・双葉の姿は他人事とは思えないほど共感してしまいましたね。

 

細かい不満点はさておき、時間をかけて書いたというだけあって、実にひねりの効いた脚本。

二重三重に仕掛けられた秘密の暴露は出来過ぎと言えば出来過ぎでしたが、俳優陣の絶妙な好演もあって見応えがありましたよね。

 

 

私立探偵さん(駿河太郎さん)の父娘をはじめ、キャストに関西弁が飛び交う描写もあり、中野量太監督のフランチャイズの京都市や関西が舞台(?)と勘違いしてしまうほどでしたが、ロケ地自体は関東が舞台のようでしたね。

 

 

母・双葉(ふたば)役を演じる、宮沢りえさんも彼女自身のキャリアの中で最上級の存在感を見せつけていましたが、痩せ細った体躯に、鼻の穴に管を通す描写には、あまりにもリアル過ぎて、本物のガン患者と見間違うほどでしたし、娘・安澄(あずみ)役の杉咲花さんの感情表現も素晴らしかったでしたね。

 

この両名には、何かしら映画賞を受賞して欲しいと思っていましたので、今回の2016年度・第41回報知映画賞の受賞は本当に嬉しかったですね。

先ずは、報知映画賞の主演女優賞・助演女優賞の受賞。おめでとうございました。

 

 

また、鮎子ちゃん役の伊東蒼ちゃんや、お父ちゃん役のオダギリジョーさんのコミカルな素の絶妙な演技が笑いを誘い、人情味溢れた、なかなか面白い脚本を更に輪をかけて面白くしてくれていましたね。

 

そして中野量太監督にとっては、商業用メジャー初作品にありながらも、いきなりの報知映画賞の作品賞&新人賞のダブル受賞。おめでとうございました。

 

 

▲中野量太監督

 

私的な評価と致しましては、

脚本上の細かい設定の不満点などが、全く気にならないほどにひねりの効いたお話し自体もそうですし、何よりも、それら不満点を凌駕するほどの出演者の好演がすごく輝る映画でしたので、邦画・洋画の好き嫌いを問わず、素晴らしい出来栄えの作品だけに、是非観賞頂きたい映画でしたね。

身近の映画館では劇場鑑賞する機会がない御方々も、DVDソフト化した際にでもご覧頂ければと思っています。

ですので、採点評価は五つ星評価で満点評価の★★★★★(100点)が相応しい映画かと思いました次第です。

 

●映画『湯を沸かすほどの熱い愛』予告編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。