『10 クローバーフィールド・レーン』(2016年) #10クローバーフィールド・レーン | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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先月末、お友達のお誕生日のリクエストの映画ということで、イオンシネマ京都桂川にて、一緒に今作を鑑賞してきました。

 

「一番怖いのは心の闇に巣食う<疑心暗鬼>(16.6/27・劇場)」

ジャンル:パニック

原題:10 CLOVER FIELD LANE

製作年/国:2016年/米国

配給:東和ピクチャーズ

公式サイト:http://10cloverfieldlane.jp/

上映時間:104分

公開日:2016年6月17日(土)

監督:ダン・トラクテンバーグ

出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・グッドマン、ジョン・ギャラガー・Jr.

 

 

東宝東和の子会社・東和ピクチャーズが担当したのか配給サイドが制作した日本版の宣伝CMやポスターが、ラストの描写がもろに完全にネタバレしていた割りには、かなり楽しめましたね(苦笑)。

 

(※ですので、当ブログでは、ネタバレ防止のために、映画のフライヤー(チラシ)の裏表紙しか掲載していません。)

 

だからこそ、ネタバレのある予告編や宣伝CMやポスターは知らない方・見ない方が、よりもっと楽しめたかもしれない作品でしたね。

それくらいに、事前情報は極力少ないに越したことはないほど先が読めない実にスリリングな展開で面白い映画でしたね。


製作のJ・J・エイブラムスは「(『クローバーフィールド/HAKAISHA』とは)DNAレベルでつながっているが、単純な続編とは違う」というような発言をしているらしいですね。
ですが、撮影手法も、手持ちカメラ撮影風のPOV方式ではなく、通常の撮影方式である点に置いても、これは別ものと捉えた方が良いでしょうし、また、今作では、あくまでもJ・J・エイブラムスは監督ではなく製作(プロデューサー)という点からも、映画の内容的にも、そもそも『クローバーフィールド/HAKAISHA』との映画の連続性はないのは確かでしたからね。

 

ですから、今作は、あえて『クローバーフィールド/HAKAISHA』を観ていなくても十二分に楽しめる作品であることは間違いなかったですね。

 

 

お話の流れ的には、以下の通りです。


運転中の事故から目が覚めたら、ハワード(ジョン・グッドマン)という男に監禁されていたミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)。
外は危険だと言って閉じ込めるハワードは善人か悪人か。そして彼の言うことは正しいのか間違っているのか。

 



狭いシェルター内で繰り広げられる男女三人による密室劇とも言えるのでしょうが、この段階では、どこか物足りなく思える人もいるかもしれないですね。

そこここに、答えの欠片(ピース)が足りないことに気が付く。
それはパズル然り、ハワードの娘然り。

 

また、狭いシェルターでの圧迫感を感じさせるにはハワード役のジョン・グッドマンの体型も役立っていたかもしれないですね。

 

 

今作のヒロインのミシェル役には、『ダイ・ハード4.0』『ダイ・ハード/ラスト・デイ』で、ブルース・ウィリスの代名詞でもあるジョン・マクレーン刑事の娘を演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッドが扮していますが、白いタンクトップがどことなしか<父親>を想起させるところが心憎い演出でしたね(笑)。

 

 

その点で、この『ダイ・ハード』のパロディっぽい風味の演出にあえてしていたのか(?)、再三に亘って密室からの脱出を試みるミシェルが、あたかも職業はエージェントか何かではないかとも思えるほど、サバイバルに長けているという設定には驚きを通り越して、その行動力には舌を巻き感心しきりでしたね(笑)。

 

といったような、スリリングな密室劇の作風の映画でしたね。

 

 

ただ、少し視点を変えてみると、この映画のキャッチコピーには「奴らはあらゆるフォームでやってくる」とありましたが、(このキャッチコピー自体も、捉え方次第では、ネタバレっぽくも取れなくもなかったのですが)、この<奴ら>を一体どう捉えるかで、その観方も相当変わってくるかとも思いましたね。

 

即ち、<奴ら>とは、具体的な誰かを指すのではなく、人間の心の闇に巣食う<疑心暗鬼>なのじゃないかとも思えてくる作品でしたね。
隠れたテーマとしては、米国民における人種問題、宗教問題、隣人間との問題における<疑心暗鬼>を生じる心の闇を描いていたと言ってもいいのかも知れない作風の映画でしたね。

 


ハワードに対する<疑心暗鬼>、終盤に登場する<アレ>に対する<疑心暗鬼>。
しかし、その心の闇を作り出しているのは、果たして、相手側にだけ責任があることなのでしょうか?
今作は、明らかに9.11以後の米国民とテロリストとの戦いを想定した世界観を意識し意図しているかとも受け取れる様にも思うのですが、頭から相手側を疑ってかかり悪者扱いしたら相手は一体どう思うでしょうか(?)。

 



あの『クローバーフィールド/HAKAISHA』では怪獣映画の体裁に形を借りた情報が途絶している下での恐怖や不安が蔓延する世界観を描いていました。
その意味では、タイトルが由来するシンクロ性を考えてみれば、「DNAレベルでつながっている」という意味合いも頷ける気はしましたね。

やはり、<生きていく>には正しい情報と相互理解が必要なのでしょうね。

そして、それは今も変わりはないですからね。

闇雲に、相手方の言葉を丸っきり信じ込むのも怖いのには違いはないのですが、それ以上に、一番怖いのは、他でもなく、やはり、人間の心の闇に巣食う<疑心暗鬼>かも知れないとも思わせる映画でしたね。

 

私的な評価と致しましては、

日本版の映画の予告編や宣伝CMやポスターに、ラストの展開がもろにネタバレしていた割りには、それでもスリリングな展開で面白く観ることが出来ました。

その点では脚本が実に上手く出来ていたのでしょうね。

劇中の密室内でのゲームの「サンタクロース」のくだりなど、冷や冷やして観ていましたし相当面白かったですね。

惜しむらくは、日本版の映画の宣伝CMやポスター画像でネタバレがなければ更に面白かったのにと思われ、その点がかなり悔やまれましたね。

そういった点から、最初からラストの描写がネタバレしていた点から面白味が半減し、Yahoo!などのクチコミレビューサイトのレビュー投稿では、その多くが低評価に繋がってしまったのかもしれないですが、あくまで私見ですが、そのラストに至るまでの密室劇が、実にスリリングな展開で面白く観ることが出来たことは確かでしたので、★★★★(80点)の高評価も相応しい作品かと思いました。

 

●『10クローバーフィールド・レーン』予告編(ほぼネタバレなし)

 

※公式サイトの日本版予告は観ずに、この予告編を観るべし。

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。