「有村架純さんの代表作にもなり得る映画(16.6/25・劇場)」
ジャンル:人間ドラマ
製作年/国:2016年/日本
配給:イオンエンターテイメント
公式サイト:http://natsumi-hotaru.com/
上映時間:110分
公開日:2016年6月11日(土)
監督:廣木隆一
出演:有村架純、工藤阿須加、淵上泰史、村上虹郎、中村優子、小林薫、光石研、吉行和子ほか
私の好きな有村架純さんの主演映画ということで、また予告編を観てすごく良さそうな映画だったのもあり、イオンエンターテイメント配給の作品でしたらば、イオンシネマ全館で公開すれば良いのにとも思いましたが、唯一この作品を上映していた、イオンシネマ京都桂川まで、先月の25日に、お友達を誘って観賞に行って来ました。
大雑把に言えば、「写真学科の学生の河合夏美(有村架純さん)は、写真家という将来の漠然とした夢や、同級生の恋人・相羽慎吾(工藤阿須加さん)との関係に悩んでいました。そんな中、父親(淵上泰史さん)の形見のバイクに乗って、山深い想い出の地を訪ねるのでした。そして、そこで知り合った人々とふれ合ううちに、夏美の心は次第に癒やされていくのでしたが・・・。」といったお話。
根っからの悪人が1人も出て来ないくらいに、人間味溢れる心優しい人達に囲まれて過ごす主人公の河合夏美(有村架純さん)のひと夏の成長記的な青春映画でしたが、実に心に染み入る作品でしたし、主演の有村架純さんの爽やかさそのままに、実に清々しい映画でしたね。
吉永小百合さんの主演映画『ふしぎな岬の物語』の原作小説の『虹の岬の喫茶店』などでも有名な、森沢明夫さん原作による『夏美のホタル』の映画化作品。
と言いながらも、私は森沢明夫さんの小説は読んだこともなく、なので、あいにくと本作品の原作小説も未読(汗)。
また、有村架純さんとしては、『ストロボ・エッジ』(未見)でタッグを組んで以来、二度目の廣木隆一監督作品。
廣木隆一監督というと『余命1ヶ月の花嫁』(2009年)を挙げる人が多いみたいですが、私にとっては『ヴァイブレータ』(2003年)の監督さんって印象が強いですね。
冒頭ほどなくして、夏美が父親の形見のバイクで、子供の頃に連れてきてもらったホタルのいる川を目指しツーリングする際の上空からの俯瞰のカメラのシーンが良かったですね。
食料調達に立ち寄った「たけ屋」という雑貨店で、店番をしていた、小学生の兄妹からは”地蔵さん”と呼ばれ慕われている福本恵三(光石研さん)と知り合い、2人暮らしの母親のヤスエ(吉行和子さん)にスイカを振る舞われた夏美は2人と意気投合し、この家にしばらく泊めてもらうことになるのですが、このくだりは、現代の都会ならば、ちょっと考えにくいビックリな展開にも思えますが、夏美に、地蔵さん、ヤスエ婆ちゃんの3人の人柄と田舎独特なゆっくりと時間が流れるようなのんびりとした空気感から、ほっこりとした良い雰囲気にも感じられましたね。
実は、地蔵さんが夏美に声を掛けたのはちゃんと理由があって、それは後ほどの感動的なエピソードともなっています。
年齢的には、夏美は地蔵さんの娘くらいの設定なので、祖母、父、娘のような関係の様でしたね。その3人に、近所の小学生の兄妹が加わって、疑似家族の様な雰囲気の中、5人でホタルを探しに行くシーンが実にのどかで良かったですね。
そんな中、慎吾が夏美を追って電車に乗ってやって来るのでしたが、慎吾の第一声の「来ちゃった」っていう台詞には思わず笑ってしまいました(笑)。
慎吾も一緒に泊めて欲しいと頼んだ時の、地蔵さんの反応が面白かったですね。
単純に、図々しいと思ったと言うよりも、自分の娘が彼氏を連れてきて一緒に泊めて欲しいと言われた父親みたいな気持ちだったのかな(?)とも思いました。
とは言え、直に、4人の生活にも慣れほっこりして来たところ、地蔵さんの親友で仏師の雲月(小林薫さん)にイヤミを言われてしまいますが、ここで夏美が反論する形で、店番や掃除を手伝うなどの条件付きでお世話になっている事が判明することとなり、妙に説明臭くなく、観客にも納得させている点も脚本が上手いと思いましたね。
キャストが皆さん良かったですね。若い主演俳優2人をベテラン俳優が脇を固めて支える感じがすごく良かったですね。
特に、”地蔵さん”役の光石研さんの演技がすごく良かったですね。
若い女性に、いきなり「家に上がれ」とのビックリ発言も、ごく自然に感じてしまうほどでしたね。
あいにくと”お地蔵さま”っていう感じはしなかったですけど、近所の幼い兄妹から慕われている感じはとても出てたし、あの橋口亮輔監督の『恋人たち』(2015年)の際の胡散臭い肉屋の主人役とは180度全く違う善人っぽい役には、その演技の振り幅に驚かされてしまうほどでしたね。
また、小林薫さんが、ちょっとクセのある仏師の雲月を好演。若者たちに対して、ひと言言いたげな実にクセのある人物像を上手く演じていたと思いましたね。
ヤスエ婆ちゃんの吉行和子さんも、良い歳を経た感じを上手く醸し出した普通のお婆ちゃん役を上手く演じてられて、さすがの存在感でしたね。
今回のこの作品には、パンフレット自体が製作されていないらしいので、公式サイトを参考にさせてもらいましたが、近所の幼い兄妹役の子役の演技も、変に演技付いていなくて、ごく自然で可愛らしかったですね。
あいにくと、公式サイトには子役までの紹介がなく、この演じている子供たちの名前が解らず残念でしたが、今後の活躍が楽しみでもありましたね。
でも、何と申しましても、若手俳優の2人が良かったですね。相羽慎吾役の工藤阿須加さんは実に爽やかながら、見た目は体育会系の体躯なのに、繊細な性格っぽく演じたのは見事でしたね。
そして、主演の有村架純さん。あの『ビリギャル』に匹敵するほどの代表作品になるのではないかとも思うほど、実は普段もこういう子なんじゃないかと思ってしまうくらいに自然に演じていましたね。
元々は関西弁バリバリの関西出身の子のはずなんですが、標準語で思ってることを臆せずハッキリという演技など、堂に入っていましたし、都会の女の子って感じが良かったですね。
感情表現の演技が決して豊かな方ではないかとも思いましたが、ちゃんと気持ちが伝わってくる演技をされていたと思います。
今回は、有村架純さんご本人が自らバイクを運転して移動するシーンが多かったのですが、その際の苦労話や裏話も知りたかったのもあり、パンフレットが欲しかったところですが、今回の作品は、イオンエンターテイメント配給のためか、パンフレット自体の製作がないのが実に残念でしたね。
個人的には、夏美が訪れた田舎町の風景が実に良かったですね。舞台になる「たけ屋」にしても、ホタルを見に行く川にしても、本当に清々しい風景でしたね。ホタルのシーンはCG処理なされているのかも知れないですが、幻想的な風景美には思わず本当にホタルが現れたような感動さえ憶えましたね。
私的な評価と致しましては、
有村架純さんを代表する作品かとも思えるほど、すごく清々しくて感動させてもらえる映画で良かったですね。そもそもの原作小説の設定が上手いからなのか、それとも脚本が上手いからなのか解りかねますが、映画の中に自然と引き込まれるかの様に見入ってしまいましたね。
ですので、ほぼ満点の★★★★☆(90点)も相応しい作品かと思いました。
今ちょっと精神的に疲れている人などにオススメな作品。
もう現在では、1日当たりの上映回数もかなり減って来ているかとは思いますが、有村架純さんファンのみならず、光石研さんのファンも必見かと思います。
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今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。