『殿、利息でござる!』(2016年) #殿利息でござる | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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「コメディ時代劇というよりも感動巨編!(16.6/2・劇場)」

ジャンル:時代劇・人間ドラマ

製作年/国:2016年/日本

配給:松竹

公式サイト:http://tono-gozaru.jp/

上映時間:129分

公開日:2016年5月14日(土)

監督:中村義洋

出演:阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子、寺脇康文、きたろう、千葉雄大、橋本一郎、中本賢、西村雅彦、山本舞香、岩田華怜、堀部圭亮、斉藤歩、芦川誠、中村ゆうじ、上田耕一、重岡大毅、羽生結弦、松田龍平、草笛光子、山崎努ほか

 

 

 

 

この作品については、映画好きブロガーの皆さんからのレビューにおいて、あまりにも絶賛記事が多いと言うこともあり、また、ちょうど今月初めにNHKの朝のニュース番組で、この作品の番宣特集をしていたことから、喜寿を過ぎた私の父親が「是非とも観てみたい!」と言うので、今月初めに、父親と一緒に観賞に行って来ました。

 

 

『武士の家計簿』の作者・磯田道史さんが実在の人物について綴った『無私の日本人』の一編『穀田屋十三郎』を、阿部サダヲさんが主演、中村義洋さんが監督を務め映画化した、すべて実話を基にした時代劇。

 

金持ちでさえ、大金を自分の利益になること以外に使おうという人は滅多にはいないこの世の中で、自分たちの暮らし向きが貧乏をしてでも、オラが町の宿場町の為にお金を貯めようと考え、無私の心意気を図ろうとするような奇特な人たちが、江戸時代に、実在していたらしいですね。

 

 

率直な感想としましては、

コメディ時代劇というよりも、涙なしでは語れないような感動巨編!でした。

この映画のタイトルやコメディ調のフライヤー(チラシ)のデザイン。そして予告編からも、てっきり大爆笑させられるコメディ映画とばかりに思い込んでいましたが、その笑いの要素はさほど期待するほどでもなくて、それはある意味「嬉しい誤算」とでも言うべきか、いい方向に裏切られていきます。

目的達成の実現の為に生活を切り詰めていく人々の清貧振りが、軽妙なタッチで描かれていきますが、やがて次第にホロリと涙するほどに感動させられることになります。

 

お金集めの奔走には様々な困難が起こるのですが、庶民をこれほどまでにも苦労させている張本人、お上への手厳しい意見も忘れてはいません。

 



資金集めに協力しようとする人々の中には、儲け話と勘違いしたり、売名行為に利用したりと考える人物も実際にいたらしく、善人ばかりでは嘘っぽくにもなりがちなお話を、西村雅彦さん演じる両替商の主人役を、出資者仲間に引き込むことによって、よりお話し自体に真実味が増し、絶妙な匙加減のコミカルな味付けにもなっていましたね。

 



群像劇という事から、複数の登場人物が右往左往し、時にうろたえ、時に熱くなり過ぎるお芝居が多くみられるなか、主人公の造り酒屋・穀田屋十三郎(阿部サダヲさん)の実弟で、造り酒屋であり両替商の浅野屋甚内役を演じる妻夫木聡さんの終始抑えた静かな演技が実に良かったですね。

ケチでしみったれな金貸し、皆からは「守銭奴」と陰口を叩かれる男の、その決意のほどが窺われましたね。

浅野屋甚内の先代役に山崎努さん。夜逃げ一家とのやりとりで、冒頭では語られなかった真実が明るみに出る時、観客は、その思いを新たにすることでしょう。

 

 

また、この「一千両貯めて、その銭を、お上に貸し出し、その利息を以て、この宿場町の窮状を救う。」という妙案を考え出した、宿場町一番の知恵者でもある、茶師・菅原屋役を演じる瑛太さんも活き活きと演技をしていて、実に良かったですね。

 

主人公の穀田屋十三郎役を演じる阿部サダヲさんにおいては、真面目一辺倒では配役した甲斐もなくなってしまうので、その弾け具合が難しいのですが、良い塩梅の匙加減で演じておられて、なかなか面白かったですね。

 

煮売り屋「しまや」の女将・とき役を演じる竹内結子さんのちゃきちゃき振りな演技が、少々苦手な向きの御方も居られるようですが、私の場合には、予てからの竹内結子ファンということもあるからか、かなり好感が持てて良かったですね。

 


予告編にて、既にその姿を多くの御方々にも披露してしまっているので、今更、驚きもしないかも知れないですが、殿様役には、日本を代表する氷上の<プリンス>のあの人が登場しますのでお楽しみにして下さいね。

 

この作品の監督が中村義洋監督ということは、あの俳優・濱田岳さんは、一体どこに出演?と思っていたら、ちゃんとナレーションで出演されていましたね(笑)。

 

こういった奇特な人が江戸時代に実在したにも拘わらず、「セコい」と揶揄され非難囂々の某東京都知事に代表される、現代の政治家さん達にも、是非、この「無私」の心意気を見習って欲しいと願う今日この頃ですね。

 

私的な評価と致しましては、

コメディ時代劇であるといった思い込みを、いい方向に期待を裏切られていくといった感じの実に素晴らしい感動巨編の映画であり、ついつい私も涙をホロリとさせてしまったほどでしたので、文句なしに、五つ星の★★★★★(100点満点)評価も相応しい映画と感じました。

 

※出来ますれば、「邦画だから・・・。」とか「時代劇だから・・・。」と、決して穿った見方をして、本作品の鑑賞を敬遠なされずに、劇場鑑賞でなくても良いので、DVDレンタルででも、まだご覧になられておられない多くの人達にも、是非とも、真に「無私」の心意気から町を救おうと奔走した市井の人々の姿を観て、この「実話」に感動して欲しいですね!

 

 

●映画『殿、利息でござる!』予告編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。