ジャンル:サスペンス
原題:WATCHMEN
配給:パラマウント
上映時間:163分
公開日:2009年3月28日(土)
監督:ザック・スナイダー
出演:ジャッキー・アール・ヘイリー、パトリック・ウィルソン、ビリー・クラダップ、マリン・アッカーマン、マシュー・グード、ジェフリー・ディーン・モーガン、カーラ・グギーノほか
R15+
2009年公開当時に、滋賀県大津市のシネコンまで、邦画の『相棒シリーズ・米沢守の事件簿』と共に、ハシゴ観鑑賞してきた作品です。
今回、廉価版DVDを購入したのを機会に、観直してみました。
観直してみて、先ず、ビックリ!!!
こんなにも、グロくて、上映時間が、2時間43分もの、こんなにも長尺な映画だったとは!!!
あの当時は、よくこんなにも長い映画を観て、更に、その日に続けて映画をハシゴ観鑑賞出来たものと、当時の私自身の体力の有り様に、二度、驚きましたね(笑)。
この作品は、公開当時、特に原作アメコミのファンなどからは、こっぴどく批判なされたりと、賛否両論が大きく分かれた作品の様ですが、恥ずかしながら、劇場で観に行った際には、原作アメコミなどは全く読まずに観に行った私でした。
しかしながら、事前に本作品のチラシなどで、大まかなあらすじを目を通して予習してから観に行きましたので、冒頭シーンの数々の歴史的シーンに、その時代の監視者である<ウォッチメン>が絡んでいたという説明描写についても、よく解り、それなりに楽しめました。
原作者のアラン・ムーアが20年以上に亘り、映画化に反対し、いま現在も反対しているほどの作品だそうですが、原作コミックを知らない私にとっては『ウォッチメン』とはこういうモノかといった、映画は映画なりに、それなりの楽しみ方が出来た作品でした。
この映画は米国の近現代史を背景にしているといっても、それは実際に、過去に存在し認識なされている歴史とは大幅に異なります。
ベトナム戦争に米国が勝利し、ニクソンのウォーターゲート事件は隠蔽なされ、任期を伸ばし続けて、ニクソン大統領は失脚していない1985年。
もうひとつの歴史の中で繰り広げられるダークヒーロー物の映画でした。
1980年代から遡って40年間の、米国の歴史が描かれてはいるものの、ただ設定自体を、現代に置き換えてブッシュの負の遺産、すなわち金融危機や武力介入の失敗で、銃乱射やテロへ結び付いて、オバマ大統領でさえもケネディ大統領暗殺のように銃撃なされる恐れを抱える<現代の病める米国>に時代設定を置き換えて、「対テロ戦争の話へアレンジして欲しいとワーナー側から話があった」との要請もあったそうですが、監督のザック・スナイダーはそれを拒否し、「原作の世界観を生かした方が、より現代がクリアに見えると確信して映画化した」と語っている様に、ここが最大のポイントにもなっていたのではないかと思います。
ストーリー自体はフィクションですが、劇中に登場する歴史的事件の数々。
例えば、ベトナム戦争や、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件や、キューバ危機、アポロ計画などに<ウォッチマン>が関与していたなど、今も語られる数多くの事件に<ウォッチメン>を絡ませることによって、その背後の真実や、きな臭さを抱かせる様な、私の個人的な感想では、巧い作りになっていたと思います。
もしも、現代風に設定をアレンジしていたならば、白々しくなり、アメコミヒーロー物のダークサイドを描いた映画としては成り立たなくなっていたかもしれないとも思います。
本作品は、フィクションたる劇中の近現代史の設定が、過去のアンチ・ヒーローたるニクソン大統領が大統領役だからこそ、何の軋轢もなく、すんなり受け入れられたとも思えました。
お話しの流れ的には、
時は、1985年。
任期を延長し、未だに、ニクソン大統領が君臨しており、スーパー・ヒーロー戦隊であり、且つ、時代の監視者でもある<ウォッチメン>の中でも、今では、巨大化したり、テレポートで、酸素がほとんどない火星にも降り立つことが出来るほどの超常的で巨大な力を持つ<Dr.マンハッタン>がアメリカにおける核抑止力になり、1977年以降のその後は、<スーパー・ヒーロー自警活動禁止令>が敷かれているアメリカ。
その為に、アメリカが核抑止力の上で、圧倒的に優位に立つ中で、米ソが緊張関係にある時代。
そんな中、ある者は闇に葬られ、ある者は隠居し、そして、またある者は地道にヒーローとしての活動を続けていたのでした。
10月の夜、アメリカのNYの高層ビルの一室において、元スーパー・ヒーロー戦隊の<ミニッツメン>のメンバーの1人でもあり、<ウォッチメン>としても活動していた、スマイルバッジがトレードマークのスーパー・ヒーローの<コメディアン>ことエドワード・ブレイク(ジェフリー・ディーン・モーガン)が殺され、その復讐のために、活動を休止していた、<ウォッチメン>たる、スーパー・ヒーロー達が集結するのでした。
そして、全人類を危機に陥れる邪悪な陰謀が進行していることを突き止めた、時代の監視者であった、スーパー・ヒーローの<ウォッチメン>の1人の<ロールシャッハ>。
そして、<二代目ナイト・オウル>ことダニエル・ドライバーグ(パトリック・ウィルソン)、<二代目シルク・スペクター>ことローリー・ジュピター(マリン・アッカーマン)達でしたが、差し迫る危機を阻止しようと戦い続ける中で、やがて、自分たちこそが絶滅のターゲットにされていることに気付くのでした。
といった、DCコミックにおける、アメコミの<ウォッチメン>という名を借りた亜流のスーパー・ヒーロー戦隊物の映画でしたが、とてつもなく、また、限りなくダークな映画でしたね。
特に、<ロールシャッハ>の顔の覆面の白黒の文様が、感情の起伏で変化していく点などは、コミックなどでは表現しにくいでしょうし、映像化して初めてその凄さも解るCG技術でしたね。
映画自体は、長過ぎるぐらい長尺な作品でしたが、<ロールシャッハ>や<Dr.マンハッタン>の生い立ちなどを丁寧に描写する上では致し方なかったのかも知れないですね。
また、描写のグロさのみならず、軽いタッチながらもセックスシーンや二代目シルク・スペクターことローリー・ジュピター(マリン・アッカーマン)のヌードシーンなどもあり、その点からも、R15指定の映画であるのも頷ける映画でしたね。
それに、<Dr.マンハッタン>自身が丸裸で、筋肉隆々のギリシャ彫刻の様に、大事な部分の男性器さえも、さらけ出しているのですから、それだけでも、R指定のレイティングに引っ掛かるのでしょうね(笑)。
本作品は、多くの原作アメコミのファンの方々には批判なされている様なので・・・。
一応、理解を深めるべく、私も「原作翻訳コミック」を購入致しました。
映画は映画として充分に楽しめましたので、原作アメコミも是非読んで楽しんでみようと思い、「原作翻訳コミック」の方も読んでみました。
ですが、私的には、原作内容に多少の改変は見られたものの、気になるようなところは無かった気も致しました(汗)。
●DCコミック『ウォッチメン』原作翻訳コミック(定価:3.400円+税)
●『ウォッチメン・オフィシャルフィルムガイド』(定価:2.800円+税)
但し、この作品で、すごく惜しまれるのは、アメリカの懐メロのポップスの流行歌が、時折、場面の描写の設定に全くそぐわずに用いられていた点が非常に見苦しかったですね。
本当に、特に、前半部分ではBGMの選曲のセンスを疑いましたね。
事前にチラシなどであらすじを読まないと、なかなか内容が解りにくかった映画であった点や、センスの無いBGMの選曲の点などを差し引いて、私的な評価は、辛口評価になりますが、★★★☆(70点)くらいとさせて頂きました。
●映画『ウォッチメン』劇場予告編
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この度も、最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。