『君と歩く世界』(2012年) | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

HALUの映画鑑賞ライフのBlog

~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

「男と女の自己再生の物語(13.4/20・劇場)」
ジャンル:人間ドラマ
原題:DE ROUILLE ET D'OS(英題:RUST AND BONE)
製作年/国:2002年/仏=ベルギー
配給:ブロードメディア・スタジオ
上映時間:122分
公式サイト:http://www.kimito-aruku-sekai.com/sub.html
公開日:2013年4月6日(土)
監督:ジャック・オディアール
出演:マリオン・コティヤール、マティアス・スーナーツ、アルマン・ヴェルデュール、セリーヌ・サレット、コリンヌ・マシエロ、ブーリ・ランネール、ジャン=ミシェル・コレイア
ほか

R15+

君と歩く世界・チラシ

君と歩く世界・チラシ裏

京都市内のシネコンにて千円均一サービスデーに鑑賞。

不慮の事故で、両脚の膝下を失ったシャチの調教師ステファニー(マリオン・コティヤール)と、貧乏暮らしの5歳の息子を抱えるシングル・ファーザーのアリ(マティアス・スーナーツ)との自己再生の物語でしたが、あえてステファニーを障碍者視せず、また、同情心扱いしないといった、ある種、無頓着でもありながらも、<平等な目線>でお互いを尊重し合う姿は、あの同じくフランス産の映画『最強のふたり』を思わせも致しますが、この映画の場合には、特段にユーモアや笑いもない、ただ突きつけられたお互いの現実をどう打破していくのかといった自己再生の物語でした。


君と歩く世界・ステファニー2

お話しの流れ的には、
アリも、元ベルギーのボクシングチャンピオンだった経験もあるほどの逸材でしたが、今では、職を転々として、南フランスのリゾート地に住む姉夫婦の自宅に親子で転がり込んで厄介になるのみならず、自らの野性的な本能を満たすが如く、代わる代わる、知り合った女性と引っ切りなしのセックス三昧といった日々を送っている始末。

君と歩く世界・アリ&息子

そんな彼でしたが、ナイトクラブの用心棒をしていた際に知り合ったステファニーに電話を入れるのでした。
当然、事故で両脚の膝下を失って、失意のどん底にあったステファニーでしたが、周りの目も気にして海に入れない彼女を、無頓着さながらも、海の中に誘うのでした。
そんな彼に導かれ、久し振りの海の中を満喫するのでした。


君と歩く世界・ステファニー&アリ1

そして、また、両脚の膝下を失ったステファニーを、他の女性と同じ様に、特段に障碍者扱いせずに、お互いに<オペ>という呼び名でセックスをし合ったり、アリが、本職のアルバイトとは別に、身体のみを資本に、非合法のストリートファイトで、自らの身体を傷付けながらも、お金を稼ぐ姿を見せつけられたステファニーは、そんな彼のどこか謎めいて野性的な獣のような本能のままに生きるアリの姿を見ているうちに、いつしか生きる希望を取り戻して行くのでした。
といったストーリー展開の映画でした。

君と歩く世界・ステファニー1

アリは、純粋なのか無頓着なのか解らないほど、本能のままのみに生きる獣の様な、一見すれば、ロクデナシの男性像にも見えなくもないですが、そんな彼の分け隔てのない愛情から、光の射す方へと、生きる希望を取り戻しつつ、自己再生していき、日に日に精神的にも逞しくなっていく、ステファニーの様子は観ていて清々しかったですね。

君と歩く世界・ステファニー&アリ2

また、事故後に、ステファニーが、水槽のガラス越しに、調教していたシャチと対面するシーンには、ついつい目頭が熱くなりましたね。

君と歩く世界・ステファニー&シャチ 
ステファニー役のマリオン・コティヤールの両脚の膝下の描写については、あの<隻腕の女性サーファー>の実話の映画化の『ソウル・サーファー』と同じく、CG技術を駆使した作品ですが、極々自然に映っていて、近年のCG技術の凄さにも、今更乍らも驚かされた作品でした。

私的な評価と致しましては、
想像していた以上に、無頓着で恋愛に不器用な男性と、また両脚に障碍を負った女性が、お互いに人間性を取り戻していき自己再生していく物語でありながらも、あえて、意識的にお涙頂戴的でない脚本にしていたところも実に好印象でしたので、ほぼ満点の★★★★☆(90点)の評価とさせて頂きました。

お勧め作品です。

●映画『君と歩く世界』劇場予告編


●劇中歌:ボン・イヴェール「Wolves(Act Ⅰ&Ⅱ)」


君と歩く世界 (集英社文庫)/集英社
¥840
Amazon.co.jp


この度も、最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。

ペタしてね読者登録してね