「家ほど素敵な場所はない(DVD鑑賞)」
ジャンル:ファンタジー
原題:THE WIZARD OF OZ
製作年/国:1939年/米
上映時間:101分
監督:ヴィクター・フレミング
出演:ジュディ・ガーランド、レイ・ボルジャー、ジャック・ヘイリー、バート・ラー、ビリー・バーク、マーガレット・ハミルトン、フランク・モーガンほか
先日、この作品の前日譚に相当する、最新作のディズニー製作の映画の『オズ はじまりの戦い』を観ましたので、その復習がてら、マイ・ライブラリーの中から、オリジナル版のファンタジー・ミュージカル映画の金字塔とも呼ばれる、本作の廉価版DVDを鑑賞。
大竜巻によって、オズの魔法の国に迷い込んだ少女ドロシー(ジュディ・ガーランド)と愛犬トトは、旅の途中で出会った案山子(レイ・ボルジャー)、ブリキの木こり(ジャック・ヘイリー)、ライオン(バート・ラー)と一緒に、願いを叶えてもらうために、偉大なる大魔王・オズの魔法使いを訪ねるといったお話。
あの『風と共に去りぬ』(1939年)と同じ、ヴィクター・フレミング監督による作品であり、主題歌『虹の彼方に』がスタンダードナンバーになった、ミュージカル映画の古典的名作。
▲『虹の彼方に』を歌う、ドロシー役のジュディ・ガーランド
率直な感想と致しましては、
1900年に発表された、原作者のライアン・フランク・ボームの原作小説と、1939年のこの映画を、よくよく対比してみますと、セピア色に染まった灰色の街・カンザスでのエピソードの描写の長さや、そこでの台詞や、カンザスでの登場人物と、オズの魔法の国での登場人物のキャストが、丁度、リンクしているところや、ストーリー展開を鑑みますと、やはり、極彩色に彩られた魔法の国よりも、いくら灰色の街でも、<家ほど素敵な場所はない>との解釈に至り、荒んではいても、やはり、故郷が一番といった、愛国心や望郷の念を鼓舞するプロパガンタ映画的な側面も否めない感もありますね。
また、この映画化に際しては、
1939年という第2次世界大戦の勃発前夜に製作されているところから致しますと、1900年に発表した原作者のライアン・フランク・ボームの意図したところではなかったとは致しましても、このミュージカル映画の『オズの魔法使い』で、魔法の国でドロシーと愛犬トトが旅で出会い、お供をすることになる、脳みその欲しい案山子、心臓(心)が欲しいブリキの木こり、勇気が欲しい臆病なライオン。
このお供が、得てして、知恵を凝らした農畜産業(農民)、真心のこもった工業製品(工場労働者)、勇気溢れる軍隊となるべきと、なぞらえられたりも出来ますし、その点からも、<富国強兵>を謳ったプロパガンタ映画であるとも言えるかも知れないですね。
とは言え、そう言った、プロパガンタ映画といった趣がある側面をも抜きに致しましても、MGMが製作する際に、二転三転して、膨大な製作費を要しただけあって、ミュージカル映画としては、当時としては、大掛かりな、実に、よく出来た映画ですね。
特に、時代は、モノクロ映画からテクニカラー映画への移行期であり、転換期でもあったことから、セピア色に染まったモノクロのカンザスの田舎町と、極彩色のオズの魔法の国との対比を表現していたり、北の良い魔女グリンダのシャボン玉による登場シーンの描写や、エメラルド・シティの中の馬車を引く馬の肌の色が変わっていく様子など、非常に上手く、カラー映画を工夫し、表現していましたね。
▲北の良い魔女グリンダの登場シーン
▲エメラルド・シティの馬車の馬の肌の色の変化の様子
また、ドロシー役のジュディ・ガーランドの歌う『虹の彼方に』は、観終わって、更に、改めて<心の故郷>への愛国心や望郷の念を抱かすのに充分な意味合いの歌にもなっていますよね。
ただ、気になった点と致しましては、最新作のディズニー製作の映画の『オズ はじまりの戦い』との整合性の点で、このオリジナル版では、魔女のグリンダは<北の良い魔女>になっていましたが、『オズ はじまりの戦い』では<南の魔女>になっている点や、ケシの真っ赤なお花畑は、本作のオリジナル版の<西の魔女>の魔法で、初めて眠たくなる様になるはずでしたので、その点では、整合性を欠く部分も少々ありはしましたね。
やはり、そこは、これほど完成度が高いミュージカル映画のこのオリジナル版の前日譚を描くのには、脚本の上でも、完璧なお話を書くのは、相当難しいという証拠なのかも知れないですね。
でも、最新作のディズニー製作の映画『オズ はじまりの戦い』において言えば、このオリジナル版の、西の悪い魔女(緑の魔女)が火の玉を投げつけるシーンや、良い魔女グリンダのシャボン玉での登場シーンなど、完璧とまでは言えないまでも、かなりの点で、整合性を付けることに成功し、<偉大なるオズの前日譚>の作品にはなったとは思いましたね。
▲西の悪い魔女(緑の魔女)
それに致しましても、このオリジナル版でも、空飛ぶ大きな猿の軍隊が、実に、おどろおどろしくて恐ろしかったですね!!!
このオリジナル版のミュージカル映画も、再度、観直してみますと、かなり当時としては大掛かりで面白い映画ですので、これから、その前日譚の『オズ はじまりの戦い』を鑑賞される御方々におかれましては、是非とも、観ておいて頂きたい作品かと思いましたね。
私的な評価と致しましては、
当時の水準としては、画期的な最先端の技術だったテクニカラーを売りにした本作ですが、非常に、そのカラー映像の使い方も巧く、また、『虹の彼方に』や『黄色いレンガ道を辿って』などの歌曲の数々など、ミュージカル映画としても、すごく良く出来た映画でしたね。
プロパガンタ映画的な要素も含む側面も観て取れる部分もありは致しもしますが、その当時の時代背景にして、この様な映画を製作出来ること自体、ハリウッドの底力を実感してしまう映画でもありましたね。
ですので、文句なしの★★★★★(100点)の満点評価に相応しい映画かと思いました。
お勧め作品です。
●Somewhere Over The Rainbow/虹の彼方に
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この度も、最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。
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