【超絶技巧!明治工芸の粋】
この特別展は、京都の清水三年坂美術館の村田コレクションから、精緻を極めた明治の工芸品ばかり約160点を展示しているものです
綺麗で細かいものは大好きです!
メガネ持参で、日本橋の三井記念美術館へ出掛けてきました
入室するとまずはステキなガラスケースの展示室なんですが、もうそのエリアで時間を使いまくります
後からわかったのですが、そこは特に観て観て!!という、中でもより素晴らしい(欲しい) と監修の方が考えた作品が選ばれていたらしいです
七宝・自在・牙彫と木彫・薩摩・漆工・金工と、まーどれもこれもジロジロジロジロ見ないでいらんない!という逸品揃いで…
中でも薩摩焼の「雀蝶尽し茶碗」(精巧山) が素晴らしかったです
外側に様々な表情の雀、見込に金彩で縁取られた無数の蝶が描かれているんですが、その細かさには身悶えします
拡大されたパネルで図柄や色を確認するくらいなので…
「日本陶磁の中でこれ程緻密な意匠が施された作例はほとんど見ないであろう」確かに!!
各部門の主将格が顔見せのあとは、ジャンルごとの展示でした
◆刺繍絵画
チクチク好きなので、楽しみにしてました
「瀑布図 (無銘) 」
わかっていても離れて観ると刺繍とは思えません
糸の向きを微妙に変えて刺すことで、細かな水飛沫が表現されています
明治維新により改革を求められた京の染織界は室内装飾を目的とした美術染織を生みだし輸出しました
加えて、絹糸であるため、繊細さゆえに紫外線や虫食いの影響を受けやすく、国内に残る作品はわずかだとか…
本展でも保存状態により刺繍絵画のみ展示替えが有ります
◆七宝
今回、何よりもその素晴らしさにノックアウトされたのは七宝です
有線七宝で右に出るものがいない、と言えるのは並河靖之です
まず造形の美しさ、描く題材の選択の秀逸さ、そしてとにかく精緻精密かつ繊細なことに溜め息しか出ません
彼の「桜蝶図平皿」のファイルと葉書を買いました

蝶モチーフは流行っていたらしく、他にも色々展示されていました
蝶の羽の複雑な模様と色彩を表現することに執着していたとのことですが、これ以上はどうやっても無理だと思います!!
並河が有線七宝の雄としたら無線七宝は考案者の濤川(ナミカワ)惣助ということで、こちらもいくつか展示が有りました
「藤図花瓶」
無線七宝は、彩色してから、焼成前に輪郭に置いた金属の線を抜くという技法です
境目が滲んだような、水彩画のような味わいが出ていて美しかったです
西の並河・東の濤川、両雄堪能致しました…
あと、粂野締太郎の「蝶尽し香合」のことも言いたい…
7×9㎝位の大きさの中に1000匹以上の蝶が描かれているんです

しかも、触角もあるし羽の上部と下部では色が替えてあるという細かさなんです
拡大レンズがセットしてあったので、確認しましたよーホントスゴい!
うーん、ただの細密画では無いんですよね…
香炉や花瓶のように湾曲したり入りくんだりした形の上に、植線し彩色するんですよね…脱帽
画の細かさだけでは無く、透明感抜群の艶やかな質感にも見とれます
これは実物を見てこそ感じられる美しさだと思います
◆金工
同じ展示室内の七宝に感動したせいか、サラッと流しそうになりましたが、そうは問屋が卸さなかった…!
勿論、精緻精密な世界が広がっているんですが、特に立体で有るところの面白さに魅入ります
「柘榴に蝉飾器」正阿弥勝義
柘榴にとまった蝉は、羽が畳みきれていません…
とまったばかりなのか、羽化したてなのか…というところ
一方ではゴミ虫が甘い実を堪能して這いずり出てきてます…リアルで面白いです
◆牙彫・木彫
「竹の子、梅」安藤緑山
象牙…なんですか、本当にぃ~?って感想

掘りたての竹の子は根本のポツポツがピンクなんですね
皮の毛羽のケバケバしてるところ(笑)や梅の葉の薄さなど、ためつすがめつ&溜め息です
特設ケースで13点出ている安藤緑山は、生没年も不詳、弟子も取らず一人で制作していたようで、技法も詳細は不明とのことでした
三井記念美術館では今回X線などの調査をし、接合部に釘が使われていることなどの説明パネルが有りました
◆自在
金属の小さな部品を組み合わせて、自由自在に動かせるようにした置物です
江戸時代に甲冑師だった人々は、維新で職を失いますが、政府の音頭もあり技術を生かして工芸品を生み出します
動かしてこその面白さということか、三点ほどの動画が流れていました
◆刀装具、印籠、漆工
刀の鐔(つば)・目貫・ふち金物などの刀装具や印籠は、細かくてナンボですので見ごたえ有ります
僅か数㎝の空間に、様々な技巧で精緻な装飾が施されているという技術も素晴らしいですが、
そこに何かしらのストーリーや裏をかくみたいなモノを発見すると面白いです
◆薩摩
薩摩焼の始まりは、桃山時代に朝鮮半島から鹿児島にやって来た陶工達によるものです
「薩摩藩が単独で参加した1867年のパリ万博と次のウィーン万博に出品した薩摩焼は高い評価を受け輸出品の花形へ」
浮世絵など単なる日本ブームで終わらない、渇望された技術を披露したということなんでしょうか
今、同じものが、機械でなく職人さんの手によってどれだけ作りうるのか…
いつの世もどの国でも素晴らしいモノというものは有りますが、まさに超絶技巧としか呼べない工芸品をまとめて観られるこの展覧会、きっと満足満腹になると太鼓判を押します

溜め息のつき過ぎ、えーマジで!などの独り言、更には近付きすぎてガラスにオデコをぶつける…、などでチョイチョイ恥ずかしい思いもするということも、付け加えさせて頂きます・・・
( 7月13日(日)までです )
展覧会を観終え、ミュージアムカフェで茶団子冷やし抹茶ぜんざいなんか食べちゃって、午後はウフフ

な方を観るんですー
《続く》



