ビル・ゴールド~映画ポスターデザインの天才を振り返る | あの時の映画日記~黄昏映画館

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2018年に97歳で逝去した映画ポスターのデザイナー、ビル・ゴールド。

彼の持つ卓越したセンスは、イメージを最大限に引き出した独特なタッチによるスタイルの映画ポスターをたくさん生み出してくれました。

 

作品のヒットに、彼のデザインしたポスターが多大な貢献をしていることに疑いを持つ人はいないと思います。

 

誰もが思い浮かべるその映画のイメージは、そのまま、ビル・ゴールドのポスターのイメージに直結する方がほとんどでしょう。

 

今回は、そんな彼がデザインした映画ポスターの振り返りをしてみたいと思います。

 

●カサブランカ(1942)

いいですねえ。

ボギーが最高にかっこよく、バーグマンに少し憂いのある表情を浮かばせて、背景に癖のありそうな人物を絶妙なバランスで配置。傑作!

 

●オズの魔法使い(1939)

絵本の中から主要人物が飛び出してきそうな楽しいデザイン。

強キャラがそろっている中でも、さりげなくジュディー・ガーランドが存在感を示すように描かれているのが見事だと思います。

 

●オーシャンと11人の仲間(1960)

スターたちが分割画面で描かれているのもカッコいいんですが、画面下部の惹句の下にある11人の逃げる姿がシルエットで描かれているところにセンスを感じますね。

 

●真夜中のカーボーイ

色遣いは派手な感じがするのに、そのきらびやかな背景の中に都会の中でもがく青年たちの孤独を絶妙に点描しています。

 

●エクソシスト

ショッキングなシーンが連続する本作において、この静なる場面を切り抜くセンス。少女の怪奇な行動より、この場面を思い出す方も多いはず。

 

●マイ・フェア・レディ

これも色遣いが上手いよねえと感心してしまう作品。

華やかなムードの中にどこか温かみを感じさせてくれる。

 

●時計じかけのオレンジ

数多いビル・ゴールドの作品の中でも傑作の一つであることに疑いがないのがこれ。作品の持つ無機質な暴力性を画面を突き破って伝えてくる迫力。

そして重要な意味を持つ目玉もしっかり描かれている。

構図、文字のレタリング、人物の表情、どれをとっても超一級品である。

 

●スティング

粋という意味で超一級の映画でしたが、その粋をこれ以上ない雰囲気で再現したこれまた素晴らしい作品。

二大スター競演作品の場合、その配列に苦労することが多いことが想像されるのだが、見事に両雄並び立ててる。

 

●ダーティー・ハリー

44マグナムの威力を見よ!と訴えかけてくるような見事なデザイン。タイトルロゴ下の犯人を追うハリーの姿をスケッチ風に描いているのもカッコいい。

 

●スカーフェイス

これも渋くてカッコいい。

バイオレンス描写が売りの作品なのに、あえて静なる表情の主人公を描くあたりに冷たい迫力を感じます。

 

●俺たちに明日はない

タイトルにピンク色を使用して、惹句にも「They're young

...they're in love」とラブストーリーのような構成なのに、銃穴でそれをバイオレンスと悟らせて、そしてそのあとに小さく「...and they kill people」と悲劇を暗示させる。

いやあ、本当に素晴らしいです。

 

と、ビル・ゴールドの素晴らしい仕事を振り返ってみたわけですが、本当にセンスの塊の人であることを思い起こしました。

これらのポスターだけでも芸術品となりえますね。

感服!

また、いろんなデザイナーの特集をやってみたいなあと思います。乞うご期待!