スゥイングガールズ(2004)
公開されてからもう20年ですよ。
早いものですね。
青春真っ盛りの少女たち(and a boy)が、ひょんなことからビックジャズバンドを組むことになるお話。
上野樹里、貫地谷しほりら演じるジャズ娘たちは、まぶしいくらいキラキラしている。
多少の演技経験はあったものの、劇中同様、楽器には縁のなかった彼女らが次第に上達していく様は、プロの演奏によるアテレコではなく本物の音であるところが感激的である。
この手の青春物語には、時に恋愛要素が邪魔になることが多いのだが、本作では、雪合戦のシーンにみられるような友達以上恋人未満の描き方がくすぐったいくらいにいいアクセントになっている。
実際に東北の地で、緑萌える盛夏のシーンから、雪深くなる雪のシーンまでロケの魅力も大きいなあと思った。
列車が吹雪の中立ち往生してしまうシーンは、そのまま一枚のスチール写真にしたいくらいの美しさ。
悪ノリになりすぎないギャグの織り込み方も巧みで、板金屋で働くフォークデュオのエピソードはいつ見ても笑える。
そのしつこい演技で(個人的に)閉口することの多い竹中直人も、本作では表に出過ぎることなく、それでいてしっかりと存在感を残す。
ジャズ娘たちは皆魅力的なのですが、中でも意外な才能を発揮するトロンボーン担当の、本仮屋ユイカがいい。
音楽教室の講師役に、谷敬を起用しているのもいいですね。キャスティングにセンスを感じる。
クライマックスの音楽祭の場面では、しっかりとソロでの演奏場面もある。
カッコいいんですよね。
『ウォーターボーイズ』然り、矢口監督は、こういったキラキラした若者の等身大の青春を直球で描くのがうまいね。
一度はやる気をなくしたメンバーたちが、上野らの演奏に惹かれて再びバンドに戻ってくるシーンは、彼女らはどこで練習してきたのかというくらい演奏が上手になっている点など、脚本が少々雑なのが残念だが、それでも十分楽しめる佳品といえる。
川を挟んで両岸でサックスの上野とキーボードの平岡祐太が拙いジャズ(ムーンライトセレナーデだったかな)を演奏するシーンは、夏の夕方を思い出させてくれる情緒たっぷりの名シーン。
そしてエンド・クレジットでは、ナット・キング・コールの『L-O-V-E』でノスタルジィに浸らせてくれる。
最後まで演出がニクい!
『スゥイングガールス』(2004)
矢口史靖監督 105分
2004年(平成16年)9月公開