パルプ・フィクション(1994)
最高にカッコいい、クエンティン・タランティーノ監督による犯罪ドラマ。
4つほどのエピソードが、時系列を無視したように展開していくが、エンディングに向かってすべてが向かっていると気づいた時の感嘆。
見事な構成で、154分の長尺をいささかも飽きさせることなく一気に見せてしまう。
その中でも、ギャングの手下である、ジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソン二人のエピソードが中心に回っている。
その他のエピソードも、それだけで1本作品が作れるんじゃないかというほどの内容の濃さで、暴力・残虐描写が強烈な印象を残す。
並のセンスの持ち主なら、この強烈描写の印象が強すぎて、暗く陰惨な印象で終わってしまうところ、タランティーノ監督は、様々な場面に細かいギャグやユーモアのある会話などを入れて、陽性の作品に仕上げてあるところがさすがだ。
それでも、いきなりクリストファー・ウォーケンが登場してくる金時計のエピソードは、いかにもタランティーノらしくお下品で笑えなかったりするのですが。
笑えないといえば、謎の黒マスク男が登場します。この人物をどういう視線で見ればいいのか困った。高度な滑り芸なのだろうか。
逆に、断然楽しいのが、ギャングの親分の愛妻(ユマ・サーマン)の世話を頼まれたトラボルタが、アメリカンクラシック映画の世界をテーマにしたような飲食店で、嫌々ながら二人で踊る場面。
このダンスシーンは映画史に残る名場面ですね。二人ともひたすらカッコいい。
畳みかけるような展開の呼吸もよろしく、これだけ血が流されている作品なのに爽快な印象を残すタランティーノ監督の感覚よ。
キャストも大物がずらり。
とても贅沢な作り方をしている。
映画ファンとしてのタランティーノの細部のこだわりも楽しい。クラシックから現在まであらゆる映画のエッセンスがいっぱい。
たくさん映画を観ている人なら、より楽しめるといった一編。
面白い。
『パルプ・フィクション』Pulp Fiction(1996)米
クエンティン・タランティーノ監督 154分
1994年(平成6年)10月日本公開