御婚礼/ウェディングパーティー(1969) | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

 

 御婚礼/ウェディングパーティー
(1969)

 

ブライアン・デ・パルマが、シンシア・モンロー、フィルフォード・リーチと共同監督した日本劇場未公開作品。

最近の配信サービスは、こういった貴重品も配信してくれるからありがたい。

 

結婚しようとするカップルが、結婚指南書に則り、前日にとある島の邸宅に親族一同を集めて食事会をした後に、結婚式を行うという物語。

 

冒頭の新郎と友人たちが島に上陸する場面から、デ・パルマ監督らは、早送り、コマ落としなど、フィルムという素材を使って思いっきり遊んでいる感じ。

 

画面の感じもクラシックコメディ調で、キートンの映画を観ているよう。

 

多くの登場人物が主人公である新郎と握手をしたり挨拶したりするのだが、相手が多すぎて覚えられない。これも狙ったギャグだと思うのですが、効果は微妙。

 

新郎は次第にうんざりしてきてマリッジブルーになっていくというのが、基本となるストーリーで、そこに、新郎の独身男の二人が絡むという展開。

 

その友人役が、一人は後にデ・パルマ監督とコンビを組んだ傑作『ファントム・オブ・パラダイス』で、悪魔にすべてを奪われた作曲家役・ウィンスロー・リーチを演じることになる、ウィリアム・フィンレイともう一人はなんと、ロバート・デ・ニーロ。

 

二人は新郎に、さかんに結婚の不幸を語り、結婚前夜のバチェラー・パーティーに誘おうとするのだが、新郎は乗ってこない。

 

屋敷では、パーティーの支度をする世話役が一人しかおらず、料理から清掃からなにからなにまで押し付けられるのでうんざりしてしまうなど、さまざまなエピソードが終始ドタバタ調で繰り広げられる。

 

でも、その中で新郎新婦が、神父と屋敷の周りを散歩する場面では、なかなか蘊蓄のある言葉が聞けたりするのが面白いところ。

 

突然、雨が降り出すのも本作の面白いところで、これまた後の『ファントム・オブ・パラダイス』の、雨の中でウィンスローが自決する場面につながっているよう。

 

学生映画の域を出ない出来栄えですが、あちこちに制作陣の映画愛が感じられて、終始ニコニコしてしまいます。

 

大変かわいらしい新婦役は、『結婚しない女』(1978)で、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞し、オスカーにもノミネートされた、ジル・クレイバーグ。

 

 

 

『御婚礼/ウェディングパーティー』The Wedding Party(1969)米

ブライアン・デ・パルマ、シンシア・モンロー、フィルフォード・リーチ共同監督 92分

日本劇場未公開