2300年未来への旅(1976)
明らかにキューブリック監督の『2001年宇宙の旅』にあやかった邦題ですが、原題は『Logan's Run』。
23世紀の世界。
人口爆発を抑えるために、人類は儀式により30歳で粛清されていた。
粛清された人間はその後新生すると信じ込まされていた。
彼等はシティと呼ばれるドームの中で生活しており、手のひらにはカラータイマーみたいなものが埋め込まれている。
そのタイマーが30歳が近くなると赤く点滅するようになっていた。
しかし、人民の中にはその運命に逆らって30歳を前にシティを脱出しようとする者がいた。
ランナーと呼ばれる脱出者を発見し処刑するのが“サンドマン”と呼ばれる者たち。
主人公のローガンも、そのサンドマンの一人だった。
ある日、脱出者たちの中で噂されている聖域の存在について調べてこいと、支配者であるコンピューターに命令され、26歳だったローガンは機械的に30歳にさせられ、タイマーが赤に点滅する。
ローガンは自ら脱出者となり、コンピューターの出会いシステムで出会った女性ジェシカとともに聖域を探す旅に出かけるのだが・・・
着想は面白いです。
30歳で粛清される完全なる管理社会に対する皮肉。
愛し合って子孫を繁栄させることの素晴らしさも伝わってくる。
主人公のローガンは自ら脱出者となったため、他のサンドマンたちから命を狙われながらの逃走劇となるのですが、この展開が残念だった。
意図的に非リアリティに作られた未来世界のセットの中でのアクションがうまくない。
次から次へと危機が訪れるのだが、手に汗握るほどの緊張感が生まれないのです。
謎の氷の世界の後に外界にでることになるのですが、(ここからちょっとネタバレします)その世界というのが荒廃したワシントン。
そこに長く住む老人と海岸を歩くシーンがあるのですが、何か既視感があるなあと思って思い返すと、「あ、猿の惑星じゃないか」と気づき、そこから一気に興ざめしちゃいました。
老人を見たことのない主人公二人が、皺だらけで白髪の老人を見て興味津々となるシーンなどはとぼけた感じがいいのだが、ここで余計なアクションシーンが入っちゃう。
制作した時代の人間が考えた時代考証が面白いですね。その街並みは1970年大阪万博のパビリオンが立ち並んだ外景にそっくりです。
映画としての出来は中程度ですが、興味深い見どころはたくさんあると思います。
整形外科の助手役でチラリと出てくる、ファラ・フォーセット・メジャースがゴージャスな雰囲気!
『2300年未来への旅』Logan's Run(1976)
マイケル・アンダーソン監督 119分
1977年4月日本公開