ガントレット(1977)
1977年末公開で、1978年(昭和53年)のお正月映画だったんですよね。
洋画でこの年の興行的ライバルだったのが、『007私を愛したスパイ』、『カプリコン1』、そして本作でした。
当時はテレビCMで流される予告編でワクワクしながら鑑賞する作品を選んだりしていたのですが、この三本の中で本作の予告編が最高に面白そうでした。
激しい銃撃を受けながらゆっくりと進むバス。
惜しげもなく予告編の段階でバンバン流していたのです。
本作はここがクライマックス。
そりゃ予告編は盛り上がるはずです。
スクリーンで鑑賞すると迫力は増したのですが、物語的にはツッコミ満載の作品でした。
ラスベガスに収監されている女マリー(ソンドラ・ロック)を裁判の証人としてアリゾナ州フェニックスまで護送する任務を受けたショックリー。
彼女の背景には深い闇があるらしく、
次々と襲撃に遭い、
その襲撃してくる相手はどうやら・・・
これだけのあらすじで大体読めてくると思います。
所謂、敵中突破パターンの作品なのですが、
その敵が、威勢はいいのだがなんともお粗末な連中だらけで途中で脱力していきます。
あれだけ撃ったら一発くらい命中するだろ!っていうツッコミは本作を観た人ほとんどが思っていることだと思います。
ヘリコプターでの襲撃。
スナイパーの腕のお粗末なことと言ったら。
しまいには電線に絡まって自爆。
イーストウッド扮する主人公ショックリーは、護送対象者であるマリーに拳銃を渡す。
無防備にもほどがあるでしょ。
いきなり現れる暴走族。
カッコよく退治した彼らと“偶然”列車の中で再会し大乱闘。
ここではヒロインが捨て身の活躍を見せて、主人公が霞む。
その後長距離バスを二人はジャックして、予告編で盛んに流れていた場面へと続きます。
ここがクライマックス。
黒幕の存在も開巻と同時にほぼ分かってしまうので、どんでん返しもない。
ただ、このクライマックスシーンの映像の迫力は本物です。
パンクもしないで進むバスに『?』が頭をかすめることもありますが、それを吹きとばします!
CG全盛の現在では見られないシーンです。
が、
ラストシーンはもしかして、『荒野の用心棒』的な仕掛けがあるのかなと思いきやなにもなくて・・・
ヒロインのソンドラ・ロックは頑張っているし、一応手を変え品を変え見せ場をこしらえているので悪い評価はしたくないのですが。
とても贅沢なトホホ作品という感じですかね。
オープニングはめちゃくちゃカッコいいです。
焼けた空に流れるJAZZがいい!
『ガントレット』The Gauntlet(1977)
クリント・イーストウッド監督 109分
1977年12月日本公開