ウエストワールド(1973) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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 ウエストワールド(1973)

 

SF作家でもある・マイケル・クライトンの監督作品で、なかなか面白い作品です。

 

10万ドルの入場料で、古代ローマや中世ヨーロッパ、開拓時代の西部アメリカを体験できるアトラクションがあった。

 

そのアトラクションの中の人間は精密にできたアンドロイドで、例えば古代ローマのアトラクションでは剣闘士、中世ヨーロッパでは皇帝、開拓時代の西部アメリカではガンマンと、それぞれリアルな体験ができるというもの。

 

主人公ら二人は西部開拓時代のアトラクションを選び、酒場で難癖をつけてくるようにプログラムされたガンマンを撃ち殺して悦に入る。

 

アンドロイドには精巧なセンサーが取り付けれれており、相手が人間だった場合温度を感じて攻撃しないようになっていたのだが、それがわかっていても興奮を覚えるほどのリアルなものだった。

 

しかし、中世ヨーロッパの女性アンドロイドがゲストの意に沿わない行動を始めたことを皮切りに、各地に配属されているアンドロイドたちが次第に制御できなくなり暴走を始める。

 

主人公らが撃ち殺したガンマンも修復されて執拗に二人を追ってくるようになるのだが・・・

 

科学で完璧に制御されているはずのアトラクションが何かのきっかけで制御が効かなくなって、ゲストがパニックに陥るという設定は、後の自身の原作による『ジュラシック・パーク』(1990)などと同様で、マイケル・クライトンお得意の設定のようです。

 

この作品で描かれるアトラクションは、現在のバーチャルリアリティーが発展したような世界。

パーク(あえてそう呼ぶことにする)の中にいる人間がアンドロイドと全く見分けがつかないところが後半のサスペンスの醸造につながります。

 

例えば主人公らが入る娼館で指名する女性などと、まったく違和感なく性行為ができるレベルの完成度なのです。

 

そんな人間なのかアンドロイドなのかわからないものがいきなり反乱しだしたら怖いですよね。

 

主人公らが最初に撃ち殺すガンマンのアンドロイドを、ユル・ブリンナーが演じているのですが、その表情が無機質でいいですね。

やられても繰り返し襲ってくるあたりは、後年のシュワルツェネッガーによる、『ターミネーター』(1984)みたいです。

指示系統のコンピュターが異常を起こして人類へ反乱を起こすというのは『2001年宇宙の旅』(1968)でも見られて、そう目新しくもないのですが、この、ユル・ブリンナーの不死身の(?)ガンマンのおかげで俄然面白くなりました。

ただ、このアトラクションに初めて来たはずなのに、主人公が施設の内部に精通し過ぎているのはちょっと違和感がありますね。

追手から逃れるためとはいえ、地下にある迷路のような施設を迷うことなく動き回るのですから(苦笑)。

 

でも、バーチャルな世界を求めすぎると怖いよというメッセージが込められている気がして、注目すべき作品であるとは思います。

 

 

『ウエストワールド』Westworld(1973)

マイケル・クライトン監督 88分

1973年12月日本公開