麗しのサブリナ(1954)~ビリー・ワイルダー監督特集⑤ | あの時の映画日記~黄昏映画館

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ビリーワイルダー監督特集第5弾。

本日は『麗しのサブリナ』(1954)です。

 

オードリー・ヘップバーンを主演に迎え、

相手役にハンフリー・ボガードとウィリアム・ホールデン。

この豪華出演陣が恋のさや当て。

 

ヘップバーン演じるサブリナは富豪ララビーカンパニーの運転手の娘。

彼女はその会社の次男坊であるデヴィットに惚れていた。

 

しかしデヴィットはプレイボーイで、

運転手の娘など目にも止めることはなかった。

 

サブリナは恋に絶望し、

車庫で自殺を図ろうとするが、

ララビー家の長男のライナスに救われる。

 

そして、

サブリナは父親の勧めもあり、

パリの料理学校へ留学することになる。

 

2年後。

帰国したサブリナは素晴らしい美女となっており、

相手にもされなかったデヴィットが求愛するまでになる。

 

しかしデヴィットは、

とうもろこし業者の娘と政略結婚が計画されており、

事態を見守っていた兄ライナスは、

サブリナが邪魔だと考えパリへ送り返そうとするのだが・・・

 

という物語で、

全体的にはヘップバーンの魅力全開と言ったところでしょうか。

一瞬奇抜とも思えるようなジバンシィの衣装をサラッと着こなしてしまうヘップバーンは妖精です。

 

ワイルダー監督も心得ており、

いかにヘップバーンを魅力的に見せるかを主題にしているように思います。

 

そして、

ハンフリー・ボガードとウィリアム・ホールデンにコメディ演技をさせたのもいいですね。

それもやり過ぎずに自然に。

 

ちょっと先のことを観客の想像できるレベルで外檻に展開させてしまうところなど名人芸だと思います。

シャンパングラスの件などね。

なかなかとれないオリーブの実なんかも、

しっかりオチにつなげている。

 

ロマンティックな展開も忘れない。

オープニングの月夜のシーンなどはまるで絵本の1ページのようだし、

無人のテニスコートでのダンスシーンも素敵。

 

エレベーターの使い方もうまくて、

特に公衆電話からライナスに連絡してエレベーターにつながるシーンはしびれた。

 

音楽の使い方もうまく、

ラヴィアンローズがこの展開にさらに甘さを加えてくれます。

 

乾いた兄弟愛を描いた後に、

ラストは余計な描写を省いてバシッと締めてくれるのもうれしい。

帽子に関する小ネタをちょっと挟んでね。

 

この撮影の頃のウィリアム・ホールデンとハンフリー・ボガードは、

超仲が悪かったらしいです。

その程よい緊張感がこの作品に活きているのかなとも思います。

 

『月に手を伸ばしてはいけない』

このセリフに対するアンサーも素晴らしく、

さすがワイルダーだと思いました。

 

あと、この作品の初公開は、

米国よりも日本での公開が一週間ほど早いのですが、

このあたりの事情も知りたいですね。

 

『麗しのサブリナ』Sabrina(1954)

ビリー・ワイルダー監督作品 113分

 

ビリー・ワイルダー監督特集