サンセット大通り(1950)~ビリー・ワイルダー監督特集④ | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

ビリー・ワイルダー監督特集をするにあたって、

本作を再鑑賞してみた。

 

改めて凄い作品!

老いに対する『怨』と『哀』に満ちた作品なのに、

先人の映画人に対するリスペクトと映画黄金時代のノスタルジィがあふれている。

(レビューはこちら↓↓↓)

 
ストーリー等は上記リンクをクリックしていただけると嬉しいのですが、
全盛期を過ぎ、人気も衰えてきたサイレント映画時代の大女優が過去の栄光を忘れることができないために起こってしまう悲劇を描いた作品なのです。
 
いつもは軽いタッチのワイルダー監督が本気を出したらこんなシリアスな物語を撮ってしまうところに、
映画作家としての実力を見ることができます。
 
そして主役のグロリア・スワンソン。
この役を引き受けるのはとっても勇気がいることだったと思う。
一つ間違えたら、自分が栄華を極めたころのサイレント時代へのアンチテーゼになってしまうかもしれない役。
自らもサイレント映画の大女優で、少なくともプライドがあったはずなのに、
過去の栄光にすがりつく役を見事に演じきった。
 
スワンソン演じるノーマが今でも頼っている映画監督役に、
実際にスワンソンとコンビを組んでいたセシル・B・デミルが本人役で登場。
1920年代に全盛を極めた彼にも僅かに哀愁が漂う。
この作品の制作の頃、自らの政治的立場で監督協会から孤立していたのもなにか因縁めいたものを感じる。
 
ノーマの執事役マックスを演じたエリッヒ・フォン・シュトロハイムも、
実際にスワンソン主演の映画を撮っていてます。
 
ノーマ邸でトランプに興じる客が、バスター・キートンらだったりするのも、
映画愛を感じますね。
 
このあたりのワイルダー監督のこだわりがわかる人は、
よりこの作品が理解できると思う。
 
アカデミー賞では、
同じバックステージものの『イヴの総て』が作品賞を受賞しましたが、
時代を経た今、世間的にはこちらの方が評価されているようです。
 
秀作ぞろいのワイルダー作品ですが、
本作は個人的にトップ3に入る作品です!

 

『サンセット大通り』Sunset Boulevard(1950)

ビリー・ワイルダー監督 110分

 

ビリー・ワイルダー監督特集