サンセット大通り | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます



サンセット大通り』 原題:Sunset Boulevard
1950年度(米)ビリー・ワイルダー監督

巧みな映画話術で、いつも嬉しがらせてくれるビリー・ワイルダー監督。
その数ある名作のなかでも、この作品は群を抜いて光っている。
そして、どの作品よりも残酷だ。
華やかであればあるほど、老いてその人生は悲しい。
でも、この監督の目は涙を流すことも許さないほど冷酷にそれをフィルムに焼き付ける。

物語はその導入部からすこぶる快調だ。
いきなり大豪邸のプールでの溺死体。
その死体が、この残酷な物語を語り始める。

売れない脚本家ジョー。
彼はその生活に困窮しており、愛車も差し押さえられようとしていた。
差し押さえを逃れるために偶然入った豪邸。
そこは、サイレント映画時代の大スター、ノーマ・デズモンドの屋敷だった。

彼女は世間では既に忘れ去られている存在だったが、
毎日舞い込むファンレターなどのため、
今でも自分は大スターだと思っている。
そして、旧知の映画監督デミルの作品で銀幕にカムバックするため、
「サロメ」の脚本を書き綴っていた。

そして、その脚本をジョーに手直しして欲しいと彼女は頼む。
ジョーはその脚本のゴーストライターとして、
その屋敷で暮らすようになる。



屋敷には他に、召使のマックスがおり、
マックスはノーマをまるで女神かのような接し方をしていた。

ある日、パラマウント映画社からノーマに撮影所に来て欲しいとの電話が入る。
ついにカムバックができると張り切ってジョーとマックスを連れ、
デミル監督を訪ね撮影所を訪れるノーマだったが・・・

と、ストーリーはここまでにしましょう。
落ちぶれていることを自覚していないノーマを演じる、
グロリア・スワンソンがすごい。
この作品を観た人なら、異口同音にそういうでしょう。

先ほどのスタジオ入りのシーンで、
ノーマにスポットライトがあたり、
撮影所の中の人間に昔のように囲まれるシーンの、
グロリア・スワンソンの恍惚とした表情。

歓迎して出迎えるデミル監督、
しかし彼も冷たい。
それをワン・カットで観客にわからせる。
気づかないのはグロリアだけ。

サイレント時代を意識したような、
グロリアの大芝居はどうすることもできない老いに対しての、
「怨」で満ち溢れている。



最後のクローズアップを要求するシーンは、
その「怨」の究極の姿。



永遠に忘れることのできない名シーン。
映画ファンなら必見の作品です。
アッと驚く展開に、絶対満足できると思いますよ。

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