昭和40年。
斜陽になっていく石炭産業を生業としていた岩手県いわき市。
そんな街に常夏のリゾートセンターを建設する計画が持ち上がる。
目玉は地元の女性たちが舞台で踊るフラダンス。
ダンスの経験のない女性たちだったが、
東京からやって来たカリスマダンサーの指導で徐々に上達していき、
さまざまな困難を乗り越えていよいよ舞台に立つのだが・・・
第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞やキネマ旬報ベストワンなど、
この年の映画賞を総なめにしました。
ストーリーなどは意外性がなく予定調和に終わってしまうのですが、
演者たちの熱演が作品に感動をもたらせてくれます。
カリスマダンサー役の松雪泰子がとてもよくて、
会社をクビになり機嫌が悪かった父親にめちゃくちゃに殴られた生徒の姿を見て逆上して、
フルチンの男たちのことなど全く意に介さず男湯に乗り込んでいき父親を叩きのめすシーンが爽快で感動。
主演の蒼井優もいいのだが、
少し鈍い感じのする女の子を演じた南海キャンディーズのしずちゃんが蒼井優を喰うほどの好演でしたね。
炭鉱事故で死亡した父親の訃報を岸部一徳から聞くシーンはこの作品の見せ場である。
そして、この作品のクライマックスはラストのライブシーン。
観客に3000人のエキストラを動員してのこのシーンに観客は無条件の拍手を送る。
フラガール達も渾身のダンス。
本物の涙。
ジェイク島袋の音楽が心に突き刺さる。
実際にある常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)の誕生秘話を基にした作品。
着想も良かったね。
『フラガール』(2006)
李相日監督 120分