フレンジー(1972) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

ヒッチコック監督がほぼ20年ぶりにイギリスにもどってきて撮り上げた作品。

同監督初となるR指定作品で、

ホラーとサスペンスとエロスが交錯する

刺激的な一篇となっています。

 

ロンドン。

ネクタイで首を絞められて女性が殺される事件が連続する。

 

酒場のバーテンとして働くディックは店主との仲が悪くクビになってしまう。

彼の親友ラスクは彼のことをいろいろ気にかけてくれる。

 

所持金もほとんどなくなったディックは酒を煽った勢いで、

元妻が経営する結婚相談所へ向かう。

 

そこで少し口論が始まり、

その様子を秘書がドア越しにきいてしまう。

 

しかし落ち着いた二人は夕食を共にして、

元妻は困ったときは頼ってきてねとディックに告げる。

 

そんな元妻を、

なんとラスクがネクタイを使って絞殺してしまった。

ネクタイ連続殺人犯は親友のラスクだったのだ。

 

そして彼の同僚の女性店員まで殺されてしまう。

 

しかし状況証拠はディックに不利なものばかり揃っていて、

彼は容疑者として拘束されてしまう。

 

無実を叫びラスクに対する復讐心に燃えるディックだったが・・・

 

冒頭のテムズ川の空撮シーンやディックの同僚が殺害されるシーンなどのヒッチコックらしい長回しがお見事。

えっ、このシーンをワンカットで撮っちゃうのって感じのシーンが満載です。

 

それから殺しのシーンが他のヒッチコック作品に比べて直接的でショッキングなのが特徴かな。

冒頭のテムズ川のシーンで全裸の女性の死体が浮いて流れてくるシーンなど、

エロ度も高め。

女性がストッキングを履く場面なんかが色っぽいんですよ。

ブライアン・デ・パルマ監督は絶対影響されてますね。

 

そんな物語でもヒッチコックはユーモアを忘れない。

事件を捜査する警部の奥さんの妙でへんちくりんな料理を警部が口に含みながら、

奥さんが見えなくなると吐き出しているシーンなど笑える。

 

舞台がロンドンだからか、

街並みや風景が落ち着いたトーンになっているのも、

雰囲気が出ますね。

ジャック・ザ・リッパ―の街ですからね。

 

ラストも余計な説明がなく、

バシッと切って終わらせるあたり心地いいです。

 

ヒッチコックのフィルモグラフィーの中では少々異色作ですが面白いです。

おススメです。

 

毎回自作のワンシーンに登場するヒッチコック監督。

本作は判りやすいと思いますよ。

 

 

 

 

『フレンジー』Frenzy(1972)

アルフレッド・ヒッチコック監督作品 116分