拙ブログ、『あの時の映画日記~黄昏映画館』。
途中、体調不良等による中断なんかもありましたが、
この6月を持ちまして14年目に突入することになりました。
本当に長い間お付き合いしていただいている方もいらっしゃいます。
そこで今月は、
『映画タイトルしりとり』と並行して、
『黄昏映画館14年間のアーカイブ』と称しまして、
過去記事の中で割と反響をいただいた記事に加筆、訂正を加えて公開しようと思います。
よろしくお付き合いくださいませ。
そこで、今回は、
2019年6月11日にアップした、
『ジンジャーとフレッド』 原題:Ginger e Fred
1986年(伊) フェデリコ・フェリーニ監督作品を再掲したいと思います。
1930年にダンスで人気を博したジンジャー・ロジャースとフレッド・アステア。
その二人のそっくりさんとして当時活躍していたが今や老境となったジュリエッタ・マシーナとマルチェロ・マストロヤンニ。
二人はおよそ30年ぶりにテレビ番組に出ることになるのだが、
マストロヤンニはすでに足元もおぼつかなくなっており・・・
素晴らしいノスタルジック作品であると同時に、
老いという人間の避けられない残酷さも描いている。
凝った照明効果やサーカス趣味など、
フェリーニテイストを存分に堪能することができるが、
何よりも素晴らしいのはジュリエッタ・マシーナの演技。
時に寂しく、
時には怒り、
またあるシーンでは天使のような表情を見せる。
マストロヤンニの後ろ姿では、
頭髪が薄くなっている。
あの二枚目のマストロヤンニがだ。
それはジュリエッタ・マシーナの目元のしわにも表れる。
時の流れの残酷さを優しい目で見つめるフェリーニ。
そして突然の停電。
停電のなか、
久しぶりに愛をささやきあう二人。
この停電を利用して会場からぬけだそう。
照明が回復し、
踊り始める二人。
マストロヤンニは必死の形相だ。
ステップがうまく踏めない、
30年ぶりのダンス。
マシーナがその都度フォローを入れる。
まさに時を超えたダンスシーン。
結局、
30年前のあのころには戻ることはできず、
マストロヤンニはマシーナに金を借りて二人は別れる。
このシーンが実にわびしい。
落ちぶれた往年の大スター。
究極の恋愛ドラマでもあるんですよね。
ただ、
テレビ批判をこれでもかと詰め込んでいるあたり、
ただの映画ではない。
フェリーニの名前にビビることなく、
ぜひご鑑賞をおススメします!
とても素敵な物語です。
おまけ・・・
本家のフレッド・アステアとジンジャー・ロジャース