作品は、貧困層ばかりが徴兵される社会に反発して退学を辞め従軍し、
ベトナムへ出兵したクリスの視点から描かれます。
劇中、
クリスは故郷に手紙を書きます。
それが、
「地獄は理性の通じないところというけれど、ここが、そういうところだよ。
来てから一週間でもうイヤになった。
一番イヤなのは、前進の先頭に立つ時だ。
いきなり敵と出くわしたらどうしよう。とても疲れる。
朝5時に起きて、夕方まで歩いたり、穴を掘ったりの毎日だ。徹夜で待ち伏せするときもある。
だれも、何も教えてくれない。新兵なんかかまってられないんだ。実戦の経験のないものは軽く見られる。
ベトナムで死ぬなら早い方がいいらしい。苦労がなくて済む。
夜、人知の中にいられれば幸せだ。3、4時間眠れる。でも浅い眠りさ。」
~中略~
「僕はまだ生きている。カンボジアの国境で・・・。
今から思うと、僕たちは自分自身と戦ったんだ。
敵は自分の中にいた。
僕の戦争は終わった。だけど思い出は一生残るだろう。
エリアスとバーンズの反目はいつまでも続くだろう。
時として僕は、彼らの間の子のような気さえする。
それはともかく、我々生き残りには義務がある。
戦場で見たことを伝え、残された一生、努力して、人生を意義あるものにすることだ。」
自らも従軍経験を持ちベトナムでの戦闘経験があったオリバー・ストーン監督は、
主人公クリスに自らを投影させ、
フィクションだけでは描けないないリアルな戦争映画をつくりあげ、
この手紙の最後の一行を実践した。
観念的ではない実在的な戦争映画がここにある。
いい作品です。
1986年(米)ワーナーブラザーズ120分