893愚連隊 | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

『893愚連隊』
1966年(日) 中島貞夫監督作品
 
先日、松方弘樹さんが亡くなられました。
追悼記事を何にしようか考えていたのですが、
まだ松方さんが若く、はにかむ表情まで見せてくれた本作に決めました。
 
松方弘樹ら4人組は、
白タクや恐喝などでその場をしのいでいる愚連隊。
彼らには上下関係はなく、
親分に仕える博打打(極道)らとは距離を置いていた。
 
愚連隊の始まりは、
戦後の闇市のころ。
そのころに愚連隊の基礎を作り上げた天知茂が、
15年の懲役を終えてシャバに戻ってくる。
 
しかし、
時代はすっかり変わっており、
天知のしのぎのやり方は若い松方らからは時代遅れに映っていた。
 
仲間に、
スケコマシ要因の近藤正臣が加わって、
彼らのやり方はさらにえげつなくエスカレート。
 
が、
苦労して危ない橋を渡っても、
結局しのぎは高松英郎率いる博打打に搾り取られてしまう。
 
そんななか、
製薬会社が発売する新薬の原薬を強奪する作戦をムショ仲間から聞いた天知茂は、
人生大逆転をかけて、
作戦を実行しようとするのだが・・・
 
いつも高松英郎ら博打打にやられっぱなしの松方たち。
しかし、
ある晩、天知茂の情婦から、
『あんたらはいつもやられっぱなしで何もできないインポや』と罵られたことに奮起し、
『俺はインポやない!』と奮起する松方弘樹がかわいいです。
 
そして、
この作品の大きな魅力は、
全編隠し撮りで行われた京都~大阪のロケーション。
 
作られた街でなく、
生きている街がイキイキと描写されます。
 
新幹線京都駅の隠し撮りは今でも語り草。
国道1号線から171号線、と、
この作品のロケ現場全部案内できます。
 
濡れ手に泡的なラストシーンと、
松方が放つセリフ、
『ネチョネチョ生きていったらええんや」は、
現状否定がかなわない底辺の人間の思いが伝わります。
 
松方弘樹はもちろんの好演だが、
軽薄で体制になびく近藤正臣と、
乱暴されている女性に自分の母親を重ねる黒人の混血ケンを演じた、
ケン・サンダースが印象に残る。
 
大阪の新世界界隈では、
この手の作品が時々上映されるのでうれしいです。
 
追悼記事らしくない記事になってしまいましたが、
若いころの溌溂とした松方弘樹の魅力は十分感じてとれます。
貴重なスターだったんだなあと。
 
ご冥福をお祈りいたします。
 
893愚連隊 [DVD] 893愚連隊 [DVD]
4,860円
Amazon
 
 

懐かしい楽曲がいっぱい!

昭和音楽祭

収益不動産情報

大阪収益不動産EGエステート

ディープな大阪にご案内

エキサイティング大阪街歩きのブログ