チップス先生さようなら | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

『チップス先生さようなら』 原題:Goodbye, Mr. Chips
1939年(英) サム・ウッド監督作品
 
83歳のチッピングは元寄宿学校の教師だった。
引退した今日でも始業式に出席しようとするが、
風邪のために遅刻してしまう。
 
家で療養するように言われたチッピングは、
チェアに腰をおろし、
新任教師としてこの学校に赴任してきたころを回想する・・・
 
というオープニングで始まる本作は、
まぎれもない傑作。
 
新任のころは真面目で融通が利かない堅物の教師だったチッピング。
それが、
偶然知り合った女性と結婚してから、
ユーモアを持った温かい心を持った教師になっていく。
 
二人が知り合った時の、
『美しき青きドナウ』に関するうんちくを語るシーンは印象的だし、
4月1日のエイプリルフールの日に、
おなかの子供と一緒に妻は亡くなってしまうのだが、
そんな辛い日ににも授業をやりきるチッピングの姿は、
事情を知った生徒たちの反応とともにとても悲しい。
 
おりしも時代は戦時下で、
生徒たちの中にも好戦的なものが現れ、
それを諭すでもなく複雑な表情で見つめるチッピング。
 
そして次々と、
教え子や親友が戦死していく無常さ。
制作されたのが第二次大戦前の1939年というのが、
なんだか・・・
 
もちろん悲しい場面ばかりではなく、
朴訥なチッピングがやらかす授業中のエピソードや、
霧の山の中で妻と出会ったエピソードなどはとても楽しい。
 
いよいよ臨終のときを迎えたチッピングの枕もとで、
教師たちがチッピングのことを小声で話し始める。
 
『寂しい人生だったんだね』
『昔結婚していたらしいよ』
『せめて子供でもいればよかったのに…』
 
ここで一瞬気を取り戻すチッピングが言います。
『聞こえていたぞ、
わしに子供がおらんと言ってたな。
そんなことはない。
わしには数千人の子供がいたんだ。
彼らはみんなわしの息子だ』
 
チッピング・・・いやチップス先生を演じた、
ロバート・ドーナットが、
教師生活64年間を奇跡的ともいってもいい演技で一人で演じています。
 
当然、おススメです。
 

懐かしい楽曲がいっぱい!

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