西部戦線異状なし | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます


西部戦線異状なし』原題:All Quiet on the Western Front
1930年(米) ルイス・マイルストン監督作品

凄い戦争映画です。
数多くの反戦映画が今でも作られ続けているが、
その臨場感、悲壮感、迫力において、
いまだにこの作品を超えるものは出ていないと思う。

しいて言えば、
’80年代に話題となりオスカーを受賞した、
「プラトーン」などはこの作品の焼き直しではないかと思えてくる。

愛国心を説く老教授に感化され、
目を輝かせて志願して戦争に赴く若者たち。

地獄のような訓練の後、
いよいよ戦地に。

そこは食料もまるで配給されず、
環境も劣悪な死と隣り合わせの戦場だった。

ある者は発狂し、
ある者は足を奪われ、
次々と戦友が死んでいく。

古参兵が言う。
「大きな広場にロープを張って、
各国のえらいさん達に裸で棍棒で殴り合ってもらえば、
こんな戦争はすぐ終わるし、こんなに人が死ななくて済む」

負傷して休暇をとり、
故郷に帰る主人公。

学校では相変わらず老教授が戦意を煽っている。
戦争での体験を語ってほしいといわれた主人公は、
「戦場には何もない、あるのは死と恐怖だけだ」とつぶやく。
生徒たちからは「卑怯者」と罵倒され、
ここに自分の居場所がなくなったのを悟った主人公は、
再び戦地に。

自分がいた中隊はすっかり顔ぶれが変わっており、
幼い面影を残した少年たちばかりになっていた。

それでもかつての戦友と再開を果たした主人公だったが・・・

敗戦国ドイツの視点から描いた米国映画という点で異色であるが、
戦場ではどちらが善でどちらが悪ということではないというのが、
ひしひしと伝わってくる。
敵味方なく次々倒れていく戦士一人一人に、
それぞれ家族があり人生があることを考えると胸が締め付けられる。

この作品の戦闘シーンは、
空爆などではなく肉弾戦だ。
だから「死」というものを切実に訴えてくる。

一匹の蝶に手を伸ばす主人公、
その主人公に遠くから銃口を向ける敵の兵士。

ラストは若い兵士たちがそれぞれ振り返るオーバーラップで終わっていきます。
こんな哀しい戦士の表情は見たことがありません。

永遠の傑作の一本です。
未見の方はぜひご覧くださいね!



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