乾いた花 | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます



乾いた花

1964年(日) 篠田正浩監督作品


原作は石原慎太郎。

配給会社から“難解”という理由で、

8か月公開を見送られ、

“反社会的”という理由で成人映画指定された問題作。


でも、まったく難解ではありません。

一種のアウトローものです。


人を刺して刑務所に入っていた村木が出所してくる。

村木は、行きつけの賭場に出向き、

花札賭博を行う。


その賭場にいたのが冴子。

無表情で大金を賭けまくっている。


虚無的な表情の冴子。

彼女は村木に近づき、

もっと大きな勝負ができる賭場がないかと尋ねてくる。


二人は賭けているときが、

とても熱くつながっているようだった。


はじめは気のない素振りをしていた村木だったが、

ある日、冴子が顔をみせなくなると・・・


花札賭博をこんなにリアルに描いている作品は、

この作品だけではないか。

札を叩くカチカチという音が、

作品のリズムを刻んでいる。


夜の高速を、

オープンカーで走り回るシーンも活き活きしている。

フェラーリかな。


村木を演じる池部良、

ニヒルな演技がとてもいい。


ヤクザの親分の東野英治郎。

憎々しい演技がしぶい。

水戸黄門をやっていたのが嘘みたいだ。


謎の青年葉。

藤木孝が演じているが、

この作品の不気味さは、

彼が醸し出している。


そして何といっても、

冴子を演じる加賀まりこの小悪魔的魅力。

ヤクザな兄ちゃんもまいってしまうでしょう。


夢の中で、

初めて冴子を女として気づき、

嫉妬心にさいなまれるシーンが暗示的。


ヤク(覚せい剤)よりいいものをみせてやるよ、

そう冴子に告げて、

村木はまた人を殺める。


このシーンが幻想的というか、

派手な音をたてたり、血が流れるわけではないのですが、

ぞっとします。


刑務所に戻った村木。

2年後獄中で知らされた冴子の正体・・・


このあたりが難解とされていたのでしょうね。

若き篠田監督の才気爆発なんですけど。


ラストで閉まる拘置所の扉。

確かに、何かを残して終わっていますけどね・・・



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