『大人は判ってくれない』 原題:Les Quatre Cents Coups
1959年(仏) フランソワ・トリュフォー監督作品
12歳の少年の小さな反抗を、
詩情豊かでおおらかなタッチで描いた、
トリュフォー監督の長編デビュー作。
12歳の主人公の少年は、毎日が苦痛だった。
学校の成績は悪く、先生にいつも怒られている。
家に帰ると両親は不仲。
寝袋に入って、夫婦喧嘩の声を聞く。
作文の宿題を出され提出するも、
バルザックの文章の丸写しだといわれ、
また説教される。
そしてついには停学。
少年は、
今の生活に我慢ができなくなり、
独りで生きていこうと家出をするのだが・・・
スポーツも勉強もできない少年が、
映画だけが好きだという設定がいいなあ。
本編で主人公の少年が、
唯一心から笑っているシーンがある。
両親と映画を観に行くシーンだ。
こんな両親に育てられたら、
そりゃあひねくれてしまいますよ。
完全に育児放棄状態ですから。
まだ素直なほうだと思いますよ。
息苦しい生活の中で、
なんとか楽しみを見つけようとする、
少年の生き方がたくましい。
家出して、
街を徘徊して、
夜が明けて、
何でもないシチュエーションなんですけど、
ジーンとします。
精一杯考えたのだろう、
割の合わない窃盗を犯してしまう。
あまりにも幼稚な犯罪。
少年鑑別所から脱走して、
海岸にたどり着き、
放心したような少年の顔が忘れられない。
いろんな映画のオマージュがいっぱいなのも、
この作品のうれしいところ。
ベルイマン監督の「不良少女モニカ」のポスターを、
破って盗んだりね。
ほんのワンカットだけ、ジャンヌ・モローが出演したりしている。
今観ても、
新鮮な魅力がいっぱいのトリュフォー作品。
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