クランスマン | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます




クランスマン』 原題:The Klansman
1974年度(米) テレンス・ヤング監督作品

007ロシアより愛をこめて 」や「バラキ 」など、
娯楽作品の演出には抜群の腕を見せるテレンス・ヤング監督の、
珍しくも壮絶な社会派作品。

白人至上主義のKKKはこれ以前にも、
さまざまな作品に登場し、
あるときは英雄的に扱われることもあったが、
現在では、ほとんど好意的に描かれることはなくなった。

そもそも白人だけが神に選ばれた罪のない、
いわゆる“きれいな”人間だという主張は、
まさしく勝手な思い込み、思い上がりであり、
ナチス・ドイツが唱えた民族主義同様、
現在では到底受け入ることができない主張なのである。

この作品は、そのKKKの蛮行を、
強烈なタッチで批判している。

黒人をリンチして死なせたりするだけでなく、
この黒人たちと穏やかに暮らしている、リベラル主義の白人や、
法に基づいて黒人を保護する警察官にまで、排他しようとしている。

もはや狂気ともいえる、これらの人物に対する憎悪の気持ちが、
ついに頂点に達し、
棲んでいる家を焼き払い、全員虐殺しようとしていた・・・

この作品は、実話に基づいているということだが、
そうだとしたら本当に怖い。
この作品が作られてから、もう40年もたっているのだから、
もう、事態は変わっているのかと思いきや、
KKKは、いまだに存在している。

種の純潔を守るということが、
過去から現在に至るまで、
争いの根底に横たわっている。
それがいいことなのか悪いことなのか、
そんな重いテーマを観る者に突きつけて、
作品は終わります。

奴隷船でアメリカに連れてこられたのが、
黒人ではなくて、我々のような黄色人種だったら、
歴史はどうなっていたのだろう・・・

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