靴をなくした天使 | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます




靴をなくした天使』 原題:Hero
1992年度(米) スティーブン・フリアーズ監督作品

これは実にアメリカ映画らしいヒューマニズムを高らかにうたった作品です。
甘いだけじゃなくて、ピリッと皮肉が効いているのもいい。

バーニー(ダスティン・ホフマン)は保釈のために尽力を尽くしてくれている、
弁護士の財布にまで手をつけてしまうほどの小悪党。
別れた妻との間に男の子が一人おり、子供に会うことだけが唯一の楽しみだった。

ある夜、子供と映画に行くことを約束したバーニーだったが、
車で迎えに行く途中、
目の前で旅客機が不時着炎上。
いやいやながら100ドルした靴を脱ぎ、
旅客機の扉を蹴破り乗客を救出する。

大混乱の現場の中で、
バーニーは脱いだ靴の片方が見つからず、
仕方なく片足だけ靴をはいて現場を去る。

そのため、子供との映画の約束を果たすことが出来ず、
別れた奥さんにも罵倒されてしまう。

一方、バーニーのおかげで命が助かった乗客の中に、
ニュースのワイドショーのアンカー・ウーマンがおり、
人命救助をして名前も告げず片方の靴だけ残して消えていったバーニーを、
「天使」と呼び、名乗り出てくれたら100万ドルの賞金を出すという。

そんなことは知らないバーニーは、
クレジットカード詐欺で逮捕、投獄され、
獄中で世の中が大騒ぎになっていることを知り、
「天使」は自分だといっても誰も信じてくれない。

そうしているうちに、
バーニーが事故のときに車に乗せてもらったババ(アンディ・ガルシア)が、
自分が「天使」だと名乗り出る・・・

だれもバーニーのことを信じないが、
子供だけはなんとなく気づいているような描写がぐっとくるし、
おちぶれてどうしようもない生活もよくわかる。

良心の呵責に耐え切れなくなり、飛び降り自殺しようとするババを、
必死で説得する場面も、
テレビで騒動を知って駆けつける別れた奥さんと子供の描写を交えながら、
とてもいい場面になっている。

真実は藪の中になってしまう中、
皮肉屋の性格が最後までぶれないバーニー(ホフマン)の演技は抜群にうまい。
ひとりよがりの演出にならず、
各登場人物の性格がきちんと描かれ
上手に張った伏線がうまく回収されているので、
とても気持ちよく鑑賞することができる作品です。

こういう人情コメディはやっぱりいいですね。

人気ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 読者登録してね
にほんブログ
ヒーロー 靴をなくした天使 [DVD]/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
¥1,480
Amazon.co.jp