ピンク・パンサーシリーズでドタバタ喜劇を演じて好評を博した、故ピーター・セラーズがドタバタを封印し、おっとりとしたヒューマンな演技で笑いと感動を呼ぶ秀作。
1979年度(米)ハル・アシュビー監督作品。
『チャンス』 原題 Being There
もう長い間、大きな屋敷から一歩も外に出ず、仕事のないときはテレビばかり観ている庭師チャンス(ピーター・セラーズ)が屋敷の主人の突然の死で、外の世界に踏み込まなくてはならなくなる。
読み書きもできず、ひたすら庭弄りをしていたチャンスにとって、外の世界は始めて見るものの連続だった。
そのチャンスが初めて街に出たとたんに高級車にひかれてしまう。
車に乗っていた婦人に手当てを受けるため家に来て欲しいといわれた。
その車の中で名を問われたチャンスは、庭師(ガーディーナー)チャンスと名乗るが、、車の中で美しい貴婦人イブ・ブランド(シャーリー・マクレーン)はチョンシー・ガーディナーと聞き違えてしまう。
イヴの夫は、経済界の大物ベンジャミン・ブランド。
彼は、老齢と病気のせいで余命は見えていた。
ある日、ベンジャミンの見舞いに大統領がやってくる。
チャンスは、読み書きが出来ないため、専門の植物の話をする。
それを聞いた大統領は、困難な政局打開の教示と受け取り大統領は大いに感激する。
そして、テレビ演説のスピーチでチャンスの言葉を引用したため、チョンシー・ガーディナーの名は全国的に有名になっていく。
チャンスはTV出演をしたりするが、分かったような分からないような迷言で人気は急上昇。
マスコミは、ガーディナーの正体を知ろうと躍起になるが、まるで見当もつかない。
そのうち、ベンジャミンは亡くなってしまう。
純粋な心の持ち主チャンスに好意を打ち明けようとするイヴだが、テレビに夢中なチャンスにまるで相手にされない。
謎の人物、チャンスの人気はどんどん上昇して行き・・・
上質の風刺喜劇です。
ピーター・セラーズはこの作品が遺作になってしまったわけですが、同年アカデミー主演男優賞にノミネートされるも、あの、「クレイマー・クレイマー」のダスティンホフマンに最優秀主演男優賞を奪われてしまいます。
2人の演技は甲乙付けがたいのですが、この年は米国での離婚事情が社会問題化していましたので、そういう結果になったんですかね。
シャーリー・マクレーンもいい味出してます。
大人のメルヘン、お勧めです!!
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