奈良県私立 奈良育英高等学校、育英西高等学校 | 校歌の広場

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高校の校歌についていろいろ書き綴っています。
高校野球でも流れたりする、校歌の世界は奥深いですよ~

今回は、奈良県の奈良育英高校と育英西高校です。

どちらも中高一貫教育として中学校を併設しています。

奈良育英 https://www.ikuei.ed.jp/ikuei-jh/

育英西 https://www.ikuei.ed.jp/ikunishi/

 

まず奈良育英中学・高校です。

県都・奈良市の行政の中心部、近鉄奈良駅の北にあり、学校は春日山や佐保川を近くに臨む地にあり、すぐ近くには奈良女子大学のキャンパスも見えます。

校名は「人間ひとりひとりが、みなその中に持っているすぐれた素質を、人間として、真に(ひい)でたものになるよう、(そだ)て養う」に基づき、奈良育英独自の「育英誓願」を学園の基準としています。

 

学園としては明治39年の奈良育英学校設立に始まるのですが、この頃は奈良女子師範学校進学または小学校教師志望者のための予備校的な意味合いだったようです。しかし師範学校廃止の機運が高まった(結局は存続していますが)のを受けて生徒が激減してしまい、廃校となりました。

その跡地、施設を引き継いで藤井夫妻により実科高女相当の女学校に変更、公式HPにもあるように大正5年に私立育英女学校初の17人の生徒入学をもって創立としています。大正12年に別途奈良育英高等女学校を新設の形で開校し、これが奈良育英高校の源流です。

校歌は作詞:吐田勝義 作曲:島崎赤太郎で制定年は不明ですが、割合早くに作られたと思われます。

奈良育英高女 (全2番)

 軒かほる 春日のみどり
 四時に変らぬ 操と仰ぎ
 窓さゆる 佐保の川なみ
 永久に濁らぬ 鏡ととげば
 鐘よ 誠の わが目醒め
 月よ 真如の わがすがた

 

創設者のひとり、藤井校長によって「誠」を第一とした教育理念は校歌にも現れ、仏教で言う”真如の月”も取り入れられています。

 

学制改革で共学の奈良育英高校となり、同系列の奈良育英中学校との併設型中高一貫教育を行っています。また戦後に相次いで幼稚園、小学校を設置して総合学園の様相になりました。

このため学園全体の校歌としての「学園歌」があり、作詞:大谷のり子 作曲:山口和彦です。

奈良育英 学園歌 (全3番)

 まろやかに 平城の山山
 若草の みどり匂いて
 佐保川の 流れに映ゆる
 育英の われら学び舎
 夢しげく 今を励むと
 おおらかに 門をひらけり
 ああわれら 奈良育英学園

 

またこの”学園歌”とは別に「スミレ咲く佐保のほとり、ならやまのまろきすがた…」で始まる”育英学園の歌”があるようですが、今でも歌われているのかは判然としません。

 

系列校の育英西中学・高校は奈良市と西隣の生駒市の市境近くに位置し、富雄駅から北のちょっとした丘陵上にあります。

昭和58年に中高一貫の女子校として開校し40周年を迎えました。国際バカロレア機構の認定校として女子校では日本初となったそうです。

校歌は学園歌とは異なる独自のもので、作詞:山本静山 作曲:山田光生、昭和59年制定です。

育英西 (全4番)

 春が来た来た 青垣山に

 萌ゆる緑と 三色の
 すみれ花咲く 学び舎に

 をとめの心 薫らせて
 四聖の教えを かかげなむ

 育英西校 光満つ

 

学園歌、育英学園の歌、育英西校歌に共通する語はスミレ四聖でしょうか。

校章でもあるスミレは”愛”を象徴し、育英学園の歌は特にこの花を強調しています。

四聖はいくつかの解釈があるようですが、ここでは”育英誓願”の世界四聖たる釈迦・孔子・ソクラテス・キリストを模範として完全の道を信じて完全を期するということです。

 

部活動としては奈良育英高校には硬式野球部はありませんが、高校サッカー全国大会出場16回を誇るサッカー部を始め運動部・文化部とも奈良県でも有数レベルで活躍しています。

育英西のほうは、ハンドボール部や文化系のクラブが頑張っているそうです。