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#7「サンドバッグ」と怒りの矛先 (性被害の時効と証拠)
性的・過激な描写が含まれます
閲覧にご注意ください
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広島の片田舎でこんなことが…と思いましたが
以前、田舎の方が犯罪が多いと聞いた事も思い出しました
彼女の告白を受け、家に帰っても怒りは収まりません
被害に遭った状況を想像すると自分の一番嫌いな事を喜んでいる男達の顔が浮かんでくるのです
「そいつらを見つけ出して殺したい…」
と唱えつつ、腹部の辺りにどす黒い感情が渦巻いていました
高校の頃に「お金がない」というドラマを見て織田裕二のファンになり、その後も織田裕二が主演の「真昼の月」というドラマを見ていました
「真昼の月」は常盤貴子演じるヒロインがレイプに遭ったという設定で、彼女を支えてきた織田裕二と結ばれる話なのですが
織田裕二が常盤貴子に向けた
「最高の復讐とは俺達が幸せになる事だ」
というセリフが印象に残っていました
しかし、当時は沸き出る怒りを抑えるだけで精一杯で、とても「幸せ」など考える余裕などありません
彼女に対しても
「何故、逃げなかったんだ?」
と責めてしまいそうな位に憤ってしまい
「どうしたらいいんだ…?」
と一人で頭を抱える日々
何処にいても心はレイプ犯に囚われていて逃げ場はありませんでした
彼女の家の近くには県営団地があり、柄の悪い人達が多く住んでいました
自転車を盗まれた時もそこで発見して盗んだヤンキー達に説教をした事もあったので、そこに乗り込んで犯人を捜そうかとも考えましたが手がかりになるものは皆無です
車のナンバーも覚えていないらしく、犯人が名乗り出てくるはずもありません
仕事はなんとかこなせていましたが、通信大学のレポートも手につかず、気付けば宙に向かって正拳突きを始めてしまうほど追い込まれていました
変化のきっかけは「サンドバッグ」でした
子供の頃、DVに苦しむ母を助けられなかった事もあり中学から大学まで空手を習っていました
大学では極真空手を習っていたので道場にあるサンドバッグを毎日のように殴ったり蹴ったりしていたのです
その時の手応えを思い出して藁にもすがる思いでサンドバッグを購入した訳です
家族に了承を経て全長1.7m程のサンドバッグを室内に置かせてもらい「クソっ」と叫びながらひたすら殴り蹴り続けました
今なら気持ちの切り替えもできると思いますが、当時はこんな憂さ晴らしの方法しか思いつきませんでした
しかし、2-3日殴り続けた所、気持ちに変化が出てきたのです
レイプ犯が許せない気持ちはなくなりませんでしたが
「こんな事を続けていても意味がない」
と実感できたのです
四六時中怒りに囚われていた感情に隙間ができ
「大切なのは犯人捜しより彼女が日常を取り戻す事だ」
と冷静になっていったのです
写真:当時、写真を撮っても二人とも目が全く笑っていない
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