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♯1 不幸のオンパレード (リストカットの傷跡) 

 

 

 

物語は二人が出会った所から始まりますが、何故、エロ本を怖がっていたかについては自己紹介①「虐待と堕胎」をご覧ください

 

 

 

性的・過激な描写が含まれます

閲覧にご注意ください

 

 

 

↓動画版↓

 

 

 

 

「あつこちゃん」とは彼女が30歳、自分が25歳の時に友人を介して知り合いました

 

 

 

友人は広島市の中心部「新天地」にある雑居ビルの一角でお好み焼き屋をしていました

 

 

 

一つ下で小学生の頃からの友人でしたが

自分のことをやけに買ってくれていたのです

 

 

 

「この人と話してみたらいいよ」

と色々な人を紹介してくれるのです

 

 

 

友人の顔に泥を塗らないよう呼ばれた時は気合を入れて相談に乗っていました

 

 

 

ただ、当時は鬱気味で弱っていた事もあり、あまり偉そうな事を言う自信もありませんでした

参照 自己紹介③『アルバイトと鬱』

 

 

 

「合わせたい人がいる」

とメッセージがきたので、楽しい時間がもてればいいな位の気持ちで承諾の返事

 

 

 

当日、約束の時間にエレベーターで店の入口まで上がると鉄板の前に女性が二人座っているのが見えました

 

 

 

コチラに気付いたのか、入口側に座った女性は会釈をしてくれましたが、奥側の女性の表情は硬く何かの面接が始まるかのような雰囲気

 

 

 

白く塗った厚化粧に不自然なくらい濃い口紅から

余程気合を入れて外出してきたことが伺えます

 

 

 

少し離れて座り目を合わせましたが表情がありません

 

 

 

まるで「能面」のようです

 

 

 

返事も非常にゆっくりなので少し頭が弱い人なのかなと感じる位です

(今思えば精神薬の影響?)

 

 

 

恐らく友人はこの女性に元気になるきっかけを与えて欲しかったのだろうと推測し、介護位の気持ちでゆっくり語りかけました

 

 

 

愛想の良い入口側の女性が間に入ってくれたので何とか会話は成立できました

 

 

 

子供のような話し方をするのに

5歳も年上の30歳との事

 

 

 

食事をしながら話を聞いていると原因不明の「発作」に悩まされているという話

 

 

 

かれこれ5年間も家からほとんど出られず働く事もできないというのです

 

 

しかし、全く心当たりがないとの事なのでアドバイスのしようもありません

 

 

 

「それは大変ですね」

という程度のやりとりで連絡先だけ交換して帰りました

 

 

 

当時、広島市の安佐北区という所に住んでたいたのですが、たまたま彼女は近所の団地に住んでいました

 

 

 

連絡先は交換したものの特に深い話ができた訳でもないので会う事ももうないかと思っていました

 

 

 

見た目的に悪くはないのですが、自分の好みという訳でもなく東京に残した彼女もいた訳です

 

 

 

しかし、1週間程経った頃、彼女から近くのマクドナルドで会わないかというメッセージが来たのです。

 

 

 

紹介してくれた友達の顔を潰しても悪いので、ボランティアとして相談を聞く友人位の気持ちでいく事にしました

 

 

 

彼女は精神薬の影響なのか足取りもおぼつかない様子で現れました

 

 

 

店の前で待っているとフラつきながら歩いてきて

「なんだ、涼くんか」

と一言いうと店に入っていきました

 

 

 

何の為に呼ばれたのかとも思いましたがドリンクを注文して二階席で窓の外を眺めていました

 

 

 

しばらくすると

ポツリポツリと身の上話を始めました

 

 

 

家に引きこもっていた所を友人が無理やり連れだしてくれたのでお好み焼き屋までいけた事

 

 

 

男性恐怖症だが俺だけは何故か怖いと感じないので連絡してみた事

 

 

 

四国出身のお父さんは自殺

お母さんとニートの弟と暮らしている事

 

 

 

精神科に通い

薬を毎日10錠以上飲んでいる事

 

 

 

話に脈絡はないのですが、色々吐き出したいのだろう思ったので「うんうん」と聞いていました

 

 

 

引きこもる前はアルビオンという化粧品の美容部員をしていたと言います

 

 

 

「また働ける様になりたい?」

と聞くと

 

 

 

「これだからもう無理」

と言って手首のサポーターを指差します

 

 

 

意味がわからず「???」となっていると

日焼け止めの為と思っていた白いサポーターを外して手首を見せてくれました

 

 

 

左手首は傷だらけでした。

 

 

 

発作が来た時に死にたくなるので思わず切ってしまうとのこと

 

 

 

浴室で自殺した事もあるらしく

おっとりした喋り方をする彼女からは想像がつきません

 

 

 

当時はまだ自分が「プロ彼氏」という意識はなかったのですが

「不幸のオンパレード」

のような彼女の話を聞いて何か力になれないかと考えました

 

 

 

「何故か涼くんだけは怖くない」

と言われた事で若干の使命感もあったと思います

 

 

 

気が付けば日も暮れていたので

「リストカットしそうになったら連絡して」

と伝えてその日は別れる事にしました

 

 

 

そして、その言葉を額面通り受け取った彼女は事あるごとに

 

 

 

「死にたい」「今から切るから」

といったメッセージを送ってくるようになりました

 

 

 

メッセージがきて迎えに行くとフラフラと玄関から出てきて

血まみれの手首を見せるのです

 

 

 

呼び鈴を押しても反応がない時もあり、おかしいと思って家に入ると過呼吸で倒れている事もありました

 

 

 

知り合って間もないとはいえ、ある日突然

人の命を預かる立場になったのです

 

 

 

当時はまだ自分自身も鬱気味だったのですが、お好み焼き屋に行った日から弱音を吐けるような状況ではなくなってしまったのです

 

 

 

写真:気分転換にと元気になれそうな映画を見せた時

手首の傷跡が痛々しい

 

 

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