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静かなふたりの時間 9

ズミキョン。

 顔はさほどというか…、はっきりいってブサカワだけども(私も人のこと言えないけども)、性格がすごく男前でいいやつだ。

 ”顔に似合わず”てのが、みんなの口癖だったな。

 ズミキョンはクラスでは正義の味方、みたいな男子だったもんな。

 いじめとか絶対にゆるさなくて嫌いで、相手が上級生でもケンカしてたもん。

 このズミキョンに会っちゃったから私の男子に対する美的センスがみんなとずれちったのかもしれない。

 ま、告白してふられましたけども、小5の時に。

 そういや中1と高1の時もバレンタインデーに告白してふられたっけな。 

 ふられて1、2年たってるから、告ってもいいかな? とかおもってしたけども…

 3連敗だよ、このパグに。

 あの頃は「お前は男友だちと一緒だからさ」とか、「ちゃんと好きなやつにチョコやれよ」とか笑いながら言われて相手にされなかったけなぁ~

 ちゃんとチョコにLOVEていれてあんのにさ。

 ズミキョンはわかってて遠まわしに断ってたんだろう、うんうん。

 気持ちが男前だから、女子はそうそう傷つけないように、て配慮だったんだと思う。

 ごめん、とか、他に好きなやついる、とか言われてたらズミキョンとその後も話しずらくなってただろうし。

 ズミキョンなりに考えてのことだったのだろう。

 ま、そうゆうとこも好きだったからいいけどもさ。

「で、ズミキョン、なにしてるの?」

「ちょっ、ばか、仕事中だよ、これでもさ。

 車よく見れ、ちゃんと書いてあんじゃん。

 ドライブ中じゃねーら、ちゃんと店の米配達中ー」

 ただの普通車かとおもったら米屋の車か。そっかやっぱ実家継いだのか。 

「米屋になるの嫌だとかいってなかったけ?」

「おう、言ってたな。

 でもさ、前のとこ不景気でね~クビになっちゃったら。

 しゃーないから家継ぐことにした」

 あはは、とズミキョンは笑った。

 けども。

 クビになるつらさは自分も少しはわかる。

 同じだから。

 東京でバイトだけども働いてた本屋、なんだかんだで一生懸命勤めてたのにな。

 景気の悪化でバイトはあっさり切り捨てられたし。

 一応望んで入ったとこだったから、ショックだったよ。

 バイトでもあの本屋ならいいや、て思ってやってたし。

 ズミキョンも傷ついたんじゃないかな、本当は。

「ね、ズミキョン、米屋どう? 嫌じゃない?」

「あー最初はね。でも今は継いで良かったかな~不景気だけどもさ。

 でもさ、ここ年寄り多いじゃんか。配達けっこうあるし、行くと喜ばれるし。

 なんか役立ってる感じでやりがいあるんだよなぁ。

 ま、米以外の野菜とかも買ってきてて頼まれるけどもな」

 嬉しそうにズミキョンはニッコリした。

 ますます愛嬌のあるカワイイ顔になった。

「そっか~

 やりがいあるなら、継いで正解だったね」

「おう」

 私はどうしようかな。

 ずっと無職はやはりよくないだろうしなぁ。

 米屋の女将てのもいいかも?

「とりあえず…ズミキョン結婚してくんない?

 どうせ独身でしょ?」

「おまえ、ばか」

 ズミキョンは大笑いした。そりゃそうか。
 
「ま、独身だけども、オレにも好みってのがあるら」

「好みねぇ…その顔で選り好みはよくないら~」

「それは言うなよ…

 あ、そだ、結婚ていえば、サエキ結婚したぞ、知ってたか?」

「え? サエキって、あのグズでボケでのろまなブサ男のサエキ?」

「ちょ、おま、それ言いすぎだろ。

 ま、でも、そのサエキ」

「えーっまじでっ!」

 やられた。

 私たち同級生の中で絶対に結婚はできないだろうと言われてた男子だ。

 頭は良かったけどもとっても皮肉屋で口が悪るかったし、運動音痴だったし。

 友だちはズミキョンくらいだったんじゃないかな、サエキって。

 ズミキョン面倒見良かったからなぁ…

 そっか、あのサエキがねぇ…先越されるとはなぁ。

「サエキさ、だいぶ性格まるくなったんだぜ。

 今は結婚して嫁さんとこのわさび農家手伝ってるよ」

「わさびってことは天城?」

「そそ」

「そっかぁまた地元の同級生減ったってことか」

「だなー。

 だいぶいなくなったら。

 ま、お前がでもどってきたけどもな」

「でもどり言うな。

 なんか意味違うようにとれるし」

「わりぃ~わりぃ~」

 ズミキョンは笑うと目じりにシワがたくさんできる。

 子供の頃からそうだったけども、30過ぎてますます増えた気がする。

 なんか、イイ。

 女はだいたい目じりのシワはつくりたくないもんだけども、男の人ってそうゆうの平気な人が多くてうらやましいな。

 そういえば都会じゃ営業成績あげるためにシワとる営業マンも増えてるそうだけども…

 私は男の人の笑いジワとか好きだけどもなぁ。

 のぶはズミキョンみたいにくしゃって笑わないから、あんまシワできないだろうな、あいつ。

 ある意味、うらやましい。

「でもさ、おまえ戻ってきたんなら連絡よこせよな。

 ここで会わなかったらずっとしらばくれるつもりだったら?」

「…まぁねぇ。

 なんていうかさ、みんなにも大口たたいてでてったじゃん。

 やっぱ戻ってきたよ、とか思われたくなかったというか…なんてゆうか」

「別にいいじゃん。

 おまえの田舎じゃん。

 世の中不景気だし、誰もなにも思わないって」

「そ、かなぁ?」

「そだよ。

 てかさ、飲み行こうじゃぁ。

 オレがおごってやるよ。

 戻ってきた祝いしてやるよ」

「え? ふたりだけで?」

 これはお誘いなんだろうか?

 もしかしたらズミキョンもわりとひとりもんで寂しくなってきてる、とか。

 私的には、まぁ、ズミキョンなら気心しれてるし~

 付き合っても、まぁ、いいけども。

「おまえの彼氏も呼んでやるよ。

 安心しろ」

「はぁ?

 彼氏?

 誰それ?」

「のぶだよ、のぶ。

 オレ見たぞ~、午前中楽しそうにふたりでデートしてるとこ。

 あまりにもイイ雰囲気だったから車でそのまま通り過ぎたけどもさ」

「えーっ、なんでのぶ。

 てか、違うし。

 デートでもないし。

 今日久しぶりに会ったばっかだし」

 どうしてそこ間違えるんだろか。

 そういやズミキョンて早とちりもかなり多い人だったけ。

 のぶと私が付き合うはずもないのに。

 どう考えてもつりあってないし。

 むしろズミキョンと私の方が顔的には似合うと思うし。

「あー、いいって、いいって。

 おまえら昔から付き合ってんの知ってるって。

 いまさら隠さなくてもいいら~」

「だ、だから、違うっての。

 もうっ昔っていつだよー。

 子供の頃から姉と弟な関係ではあるけどもさ」
  
「お前が高校生の時からくらいだろ?

 ま、いいや。それよか、今夜は飲み会な。

 あとでのぶに時間と場所伝えとくから」

「だから、のぶは違うって。

 てか、ズミキョンってのぶと仲良かったっけ?」

「ばか、オレら同じ地区の青年団員だら。

のぶも飲み仲間だよ」

「そっか、ズミキョンも大藪区だっけ。

 てか、のぶが青年団入ってんだ…なんかそんなのしなさそうなのに。

 だって消防団とかもするでしょ?」

「おもにそれが仕事だしな、青年団の。

 てか、うちら地区の若もんていったら数人だしなぁ。

 のぶも入らないと困るんだよ」

「そ、そか。

 男って大変だね」

「いや、意外といいもんだぞ。

 集まりとかいっては飲んでるし。

 ちょっとした学生気分にも戻れるしな」

「なるほどねぇ…」

「じゃ、そうゆうこで。

 配達途中なんだよ。

 あとでのぶに電話させっから」

 じゃぁな、と言ってズミキョンは車を走らせて去っていった。

 のぶも知らないうちにいろいろな人とつながりができてるんだなぁと思ったら、なんだかちょっとだけ寂しくなった。

 なんだろう、この気持ち。

 子供の頃は私の後ばかりついてきてて、あまり友だちもいないんじゃないかと心配しとこともあったけども。

 のぶもちゃんと大人になってんだな~、と。

 久しぶりにあったのぶは知ってるようで知らないことの多い子になってる、てことか。

 ひとりだちした弟を想う姉ってこんな心境にみんななるのかねぇ。

 て、今日のぶに会うまですっかり忘れてた気持ちだけどもさ。

 家に閉じこもって自分のことばかり考えてて、なにかラッキーなことがおこらないか他力本願で期待してて…

 けっきょくなにもおこらないまま月日だけ過ぎてく毎日。

 自分で自分がみじめにおもえて、外にでて誰かに会ったら笑われるんじゃないかとビクビクしてたけども…

 なんだか今日会ったみんなは優しく感じたな。

 誰も笑わなかったな、私のこと。

 外にでるのはこわいことじゃない、てことだね。

 気にしてるのは自分自身だけ、てことか。

 てか、飲み会…

 うんん、どうしよう、着てく服。

 やっぱおごりと言われても財布は持ってくべきだよねぇ。

 化粧は、どうしようかな~

 ズミキョンとのぶだけなら、ま、いっか。

 あ、そだ、カエちゃんも誘うようにのぶから電話きたら言わなきゃな。

 恋のキューピッドとしては、そこ忘れちゃだめだよねぇ。

 こりゃちと楽しみになってきたかも。
 

 
 
 

 

blue sky

 晴れの日外に出かけて 元気にかよる仔犬に

 ほほよせじゃれあい 笑い転げて

 空を見上げる まぶしい blue sky

 昨日までの憂鬱がうそのよう

 なんだかとっても気分がいいよ

 こんな気持ちならどこまでも

 どこまでも歩いていけそうな気がするよ

 道端の空き缶蹴り上げたい気持ちおさえて

 ちゃんとゴミ箱に捨てましょうね

 良いことするたび心が拍手してくれる

 自分が自分を褒めてゆく 

 世界に向けて叫びたい

 自分はここに ここにいるよ blue sky

 あの鳥たちよりも今は自由だ

 よし、髪を切りにいこう

 もっと軽くなってやる

 ケーキも買って帰ろうよ

 お気に入りの曲聴きながら

 甘い時間を過ごすんだ

 そして心地よく居眠りしよう

 だって今日はとっても とっても blue sky

恋愛てなんだろう

 好きで付き合っても 別れちゃう

 どうしてうまくいかないのかすらわからない

 自分が好きになったのに

 なんだかどんどん離れてく

 好きだけじゃだめなのかな

 なんでダメになるのかな

 けっきょくお互いうわべしかわかってなかったみたい

 好きで求めたけど 心が満たされなかった

 脳みそがあんなに喜んだのに 

 ほんのひとときで麻痺しちゃったよ

 一緒にいてもうまくいかない

 恋愛ごっこしてただけ?

 でもあのときめきはなんだったんだろう

 なのにまた似たような別の人選ぼうとしてる

 この欲求になんで勝てないんだ

蓮華草

 明日から 明日から 愛を育もうよ

 ときにみじめになることも起るけども
 
 行き先に 行き先に 笑顔が見たいから

 あなたを認めて許し続けれます

 ふたりきり ふたりきり

 いつか大切な人が増えてゆくから

 私もちゃんとしなきゃね、て思います

 ありふれた ありふれた 日常だからこそ

 あなたをみつけて幸せが生まれた

 そう生まれ続けてゆくんだと思います

 悲しみも 寂しさも 私ひとりじゃない

 あなたと握る手が心の支えです

 わがままも許しあっていきましょう

 尊敬と 愛情と あなたと私

 一緒にいるからうまれてくるすべてのものに

 感謝しながら見つめ続けてゆきます

 命果てるその日まで
 
 苦しくても穏やかに

 悔しくても穏やかに

 嬉しくても穏やかに

 泣き出しても穏やかに

 あなたを抱きしめて幸せの香り感じます

 私はささやかな人間です

悩みは花びらとんでゆく

 春風吹いて一人だちする

 心のトキメキに想いを よせて

 かぐわしく香る緑色の堤防の原っぱで

 今日もくよくよしながらみてた川のなぎさ

 だけどもういい もういいんだよ

 空を見て ほら 青い空

 小鳥たちが気持ちよさそうに飛んでくよ

 飛行機雲を追いかけてゆこう

 軽やかに歩き出す あたしの足

 アスファルトなんかが今は夢の道

 風よ吹け どんどん吹いて

 桜並木の花びら 舞い上がれ 舞い落ちれ 

 あたしのためにね 

 キレイにね

 桜並木の花びら 舞い上がれ 舞い落ちれ

 原っぱの草たちも

 歌うから

 忘れないで 忘れないよ

 こんな孤独と戦った日々

 でも忘れよう 忘れてしまおう

 君は君でどこまでも行けばいい

 あたしはあたしであるために

 今日から素敵を探し出す

 桜並木の花びら 舞い上がれ 舞い落ちれ

 まるはだかになって

 来年も

 桜並木の花びら 舞い上がれ 舞い落ちれ

 美しく着飾る

 そのために

 あたしも春に咲きほこる

 つらさがキレイをましてゆく

 空が青くて気持ちいい

 幸せがここだと教えてる

 悩みは花びら とんでゆく