コンパニオンドッグ | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

おれの道場の弟子達を犬に例えて分類すると弟子達は、他の武道や格闘技を身に付けていて腕も立つ いわゆる血統書付きの猟犬や闘犬や番犬が揃っている。


おれにとっては、得難い弟子が「野に放たれた八光流」と言われる野良犬キャラであるおれの道場に集まっている。



コンパニオンドッグと言うのは、人の心を癒したり和ませたりする事に特化した犬の事で猟犬や闘犬とは対角線上の存在と言える。


おれが30年以上前に八光流の道場を始めた時 一番最初に弟子になったのは、正にコンパニオンドッグみたいな男で元々おれの友達だが、滅法人当たりが良く誰とでも直ぐに仲良くなる。

何かと言うと敵を作りがちなおれとは、真逆な奴だ。


おれは経験上やたら愛想の良い八方美人な奴は信用しない習性がある。


だが、この男は別だ。

何故なら奴には、おれやおれの弟子達と同様に心の中に揺らぐ事の無い自分なりの正義を感じるからだ。


このおれと真逆キャラの一番弟子は、仕事の都合で30年近く道場に来れなくなっていたが、この春から練習に復帰出来るようになった。


奴が復帰した初日ある弟子がおれに「何だか良い人ですね」と感心するように言った。

おれが「おれとエライ違いだとか思って無いか?」と言ったらその弟子は「エヘヘ」といたずらっぽく笑っていた。



斯くして コンパニオンドッグみたいな友であり一番弟子は、約30年ぶりにおれの道場に復帰した。


先ずは「めでたし めでたし」と言う所か。