ダークヒーロー ビギニング vol.23 | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

おれが中学三年になった年 高校進学について一つの大きな方針変更があった。


それは、前年までは私立高校の受験日は他の学校と重ならないように日程が組まれていたが、おれ達の受験の年から突然私立高校の受験日が全て同じ日に統一された。


と言う事は、私立高校を受験する者は、一校に的を絞って受験する事になり滑り止めに幾つかの高校を受験出来なくなった。

つまり「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると」と思っていたその年の三年生は、いきなり命綱を切られたような安全マットを取っ払われたようなショックを受けた。


受験に対する不安感から校内は荒れ頻繁に様々な事件が起きた。


そんな状況の中 おれは、普段と何ら変わらず過ごしていた。


三年のクラスは、個性的な奴が多く柄の悪い連中も居たが、おれとしてはけっこう居心地は良かった。


同級生の中には、二年生の時サッカーで対決したNO.2と呼ばれる男も居て一際不穏な空気を漂わせていた。


一年生の時の同級生小太りは、二年生の時No.2に虐められていたようで三年のクラスでのおれとNo.2の対決を期待していた。

「敵を討ってくれ」と小太りは言ったが、おれは「知った事か」と取り合わなかった。


三年の担任は、再び一年の時の教師だった。

おれは、何故だか彼女には頭が上がらなかった。

それは彼女が、おれ自身でも理解出来ないおれの心理の深部をある程度把握しているような所があったからかも知れない。


そしてこの担任教師との再会が、おれの現在に至るまでの生き方に多大は影響を及ぼす事になる。



vol.24に続く