学童保育にも入所式と卒所式があった。
これらの日は、父兄も来るので学童の指導員は、少し緊張する。
こう言う時に何かしでかすのは、おれのように全く緊張感のない奴だ。
入所式の日 先輩の指導員がおれに「今日は、しゃきっとして下さいよ」と念を押した。
「おれは、いつだってしゃきっとしてますがねぇ」ふてくされていると新1年と父兄達がゾロゾロ入って来た。
「おっ 早くもおいでなすったか」とおれが言っていると傍に居た4年生女子に「そんな言い方しちゃ駄目!」と叱られた。
おれの服装の着こなしやヘアースタイルや言葉使いに何かとクレームを付けて来るこの少女は、何かイベントがあると おれの動向に目を光らせている。
「今日は、親の前で挨拶するんやろ?」と少女は、おれに聞いた。
「まあな」とおれが答えると「真面目に話さなあかんで」と彼女は、真剣な眼差しで言った。
「当たり前だ 父兄相手に冗談言ってもしょうがないだろ」と言っておれが自分の位置に着くと彼女はおれの横に座った。
そして「今日は、おれじゃなくぼくやで」と小声で言った。
おれも小声で「無理」と言った。
(40)に続く