猛毒スピーチ (前編) | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

おれには、めでたい席が似合わない。

何度か弟子や友人の結婚披露宴にも出席したが、やっぱりどうも居心地が悪い。



おれの中学の同級生の結婚披露宴に出席した時もダークな風を巻き起こしてしまった。


その友人とは、中学を卒業して以来それ程会う機会も無く特に仲が良いと言う事も無かったが、見栄っ張りな友人は、おれと言う友人より八光流柔術師範の肩書を持っている武道家として招待したかったようだ。

おれは、他の招待客の中あって何と無くそんな事を感じていた。


おれの席は、新郎の大学時代の友人のグループに入れられていたが当然おれだけ浮いていた。


酒も乾杯の折りにビールをコップ一杯飲んだだけで後はひたすらウーロン茶と食事で間を持たせていた。


そんな時 キャンドルサービスの段取りになり新郎と新婦が、各テーブルのキャンドルに着火して行く事になっていてやがておれ達のテーブルのキャンドルに火を着けに来た。


ところが、予め新郎の大学時代の友人の一人がキャンドルの芯に赤飯の飯粒を付着させていたのでキャンドルに火が着かない。


おれは、こう言う冗談は大嫌いだから次第にイラつき出した。


新郎は、困り顔でいつまでも火を着けようとしていた。


おれは、めでたい席なので我慢していたが、我慢しきれなかった。

「鬱陶しい! 火が着かないなら止めとけ」


おれの一言でその場の空気が凍った。



後編に続く