[窓の外]
あれは、おれが中学に入学して半年が過ぎた頃だった。
相変わらずおれは、大抵一人で気楽にダラダラと学校生活を送っていた。
そんなおれには、窓の外をボケ~と眺める妙な癖があった。
おれの姓が、あ行だから どうしても席順が窓際になる。
教室が4階なので眺めもいい。
ある日の社会科の授業中 おれはいつものように窓の外を眺めていた。
運動場では、サッカーをやっていた。
大して面白くもないサッカーの試合を見ながら退屈な社会科の教師の話を聞いている内に おれは眠くなって来た。
頬杖をついて窓の外を眺めながら(一眠りするか)と思った時 不意に教卓の方から異様な殺気を感じて振り向いたら白くて小さい物が、おれの頭部目掛けて飛んで来た。
おれは、反射的に飛んで来た物を受け止めた。
それは、社会科教師の投げたチョークだった。
困った事におれは、自分に向かって飛んで来た物を受け止めると飛んで来た方へ投げ返す習性がある。
危うく顔面に当たる寸前でチョークを受けた所までは良かったが、キッチリそのチョークを飛んで来た方へ投げ返した。
矢のように飛んだチョークは、こんな時に限って正確に教師の額の真ん中にヒットした。
「イタッ !」と教師が叫ぶのとおれが「あっちゃ~」と後悔の声を発するのがほぼ同時だった。
vol.6に続く