ダークヒーロー ビギニング vol.3 | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

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ダークなムードで始まったおれの中学時代は、案外平穏に過ぎて行った。


相変わらず群れる事が嫌いなおれは、大抵一人で気楽に過ごしていた。


小学6年の担任教師とおれは、反りが合わず懇談会の度に協調性が無いとか偏屈だとか苦情ばかり言っていたが、中学1年の担任は、それも個性として認めてくれていた。


ある日の昼休み おれが機嫌良く昼食を食べていると小太りの同級生男子が近付いて来た。

そいつは「一緒に食べよう」とおれの隣に座った。

「おれは、飯は一人で食う事にしてるから他の奴と食え」と言うとそいつは「そんな事言うなよ 人間は一人では生きて行けないんやで」と隣で食べ始めた。


「おいおい お前は中村雅俊か?」とおれは言ったが鬱陶しい事に小太りは、そのまま居座った。


そして その日の帰り道またしても小太りが追い掛けて来て「一緒に帰ろう」と言うのでおれは「嫌だね 一人で帰れ」と拒絶して歩く速度を上げた。


この日から小太りの同級生とおれは、一緒に昼食を食い共に帰宅する仲になった。


だが、おれは何故かこの男を心から信用する事が出来なかった。



vol.4に続く