第4の八光 | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

長年八光流の師範をやっていると ごくまれに非常に技を掛け難い奴と遭遇する事がある。

生まれつき異常に関節が柔軟で痛覚が鈍く技に対して訳の分からない抵抗を試みる。そして技から逃れようとする。

そんな相手に八光流の正統な技を掛けるのは難しい。
八光流柔術は、護身術だから逃げる奴に掛ける技は無い。

だが、師範は例え特異体質の人間にも対応しなければならない。

こう言う時の各師範の対応は、特異体質の人間には掛からないとあっさり諦めるか敵とみなして道場から追い出すか八光流の正統な技を変化させて掛けるか大抵この3つに1つだ。

おれの場合は、3つ目の対応に出る。
八光流の技におれ独自の変化を加えて掛ける。

しかし それでも尚相手が特異体質を利用して抵抗する時 そしてその抵抗に挑戦的な気配を察知した時おれの内側のダークゾーンが覚醒する。

そうなるとおれの技は、容赦ない技に変化する。

「挑まず、逆らわず、傷付けず」と言うモットーに
「ただし刃向かう奴に容赦は要らない」と言う言葉が自動的に付け加えられる。

これは、おれ特有の第4の八光と言う事になるのかも知れない。

しかし おれとしては、この第4の八光は極力避けたい。

思わず第4の八光で対応し技を幾つか掛けた後は、何かとても後ろめたい気持ちになってしまう。
そして後悔する。

おれにとって この第4の八光を制御する事もおれの八光流師範としての課題だと思っている。