京都人(前編) | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

京都人は、独特のモラルの中で生きている。

幾つか例を挙げると

帰ろうとしている来客に「上がってぶぶ漬け(茶漬け)でも」と引き止める時は「用事が済んだら帰ってくれ」と言っている事になる。
これは、俗に「京のぶぶ漬け根性」と言われている。

来る可能性の無い相手に「一回来てくれ」と誘う。
これは、只の社交辞令で まさか本当に来るとは思っていない。

「行けたら行きます」は「行きません」

「賢いぼん」は「アホなガキ」

と言うように本音と真逆の建て前が言葉になって出て来る。


おれは、京男の父と江戸っ子の母の間に生まれた異次元ハーフだが顔も気質も母親から強く影響を受けているので京都人の複雑怪奇なモラルには付き合い辛い。

京都人は、「格」と言う物を重んじている。
京都に先祖代々根付いて 職業的にも人間的にも信用されている家柄が「格」に繋がる。
単に財産の有る無しは「格」とは別の話だ。


おれは、かつて生粋の京女を治療していた。

彼女は、京都で老舗の呉服屋の親戚で いわゆる「格」の高い家柄の娘だった。

如何にも京美人と言う感じの女だったが意外に気さくで明るい彼女とは、初診の時から意気投合した。


後編に続く