八光流歩法 | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

柔術の技を掛けるには、相手との間合いを詰め接近しなくてはならない。
その為には瞬時に相手に密着する技術を要する。

八光流には、独特な歩法があり 殆ど体幹をぶれさせず素早く間合いを縮める。

おれは、この歩法を自分の物にしたかった。

八光流歩法の本来の目的は、数歩または数メートルの間合いを詰める事にある。

ある日散歩しながら八光流歩法の事を考えながら歩いている内に気が付けば八光流歩法で歩き始めていた。
おれは、八光流歩法で歩き続けたらどうなるか?何処まで行けるか?試したくなった。

結局全速力で3キロ歩いた所で膝から下の筋肉が張って脚の感覚が麻痺したようになってしまった。

その後脚の状態は2、3日で回復したが我ながら無謀な挑戦だったと少し呆れた。

しかし おれと言う男は、昔から時折おかしな事に挑戦したくなる癖がある。

おれにとっては、無謀だ無駄だと言われる事を敢えてやるのも これはこれで乙な鍛え方だ。

それにしても 夕暮れ時に体幹をぶれさせる事無く猛烈なスピードで歩く目付きの悪い男を目撃したり擦れ違った人々は、さぞかし不気味だっただろう。