八光捕り対電撃(後編) | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

おれは、我流の技「電撃」が正統派八光流に通用するのか試したくなった。

師匠が「ん?」と言ったかと思った次の瞬間 気が付けばおれの手の中に師匠の手首は無かった。
そしておれの手から抜けた師匠の手は、手刀となっておれの側頭部の急所5ミリ直前で止まっていた。

小学6年生の頃から20代まで数多くの敵を恐れさせて来たおれの「電撃」と呼ばれた技は「八光捕り」の前に初めて敗れた。

おれは、これほどの技とその使い手に会えた事が嬉しかった。

弟子にしてくれと頼むおれを公山先生は「嫌じゃ」とあっさり入門を拒否した。おれは強引に頼み事をするのは苦手だが この時ばかりは熱心に頼み込んで弟子にしてもらった。

かくして八光流柔術に於いて一番最初に習う技「八光捕り」は、八光流変人師弟コンビ誕生の切っ掛けになった。