八光捕り対電撃 (前編) | 八光流 道場記

八光流 道場記

京都で約30年、師範をやっております。
つれづれなるままに書き綴ってまいります。

初めて師匠公山先生宅を訪ねた日 師匠は、八光流柔術の看板を下ろしかけていた。
長続きする弟子が居ないと言うのが原因らしい。

公山先生は、それでもおれが武道を身に付けたい理由や意気込みを聞いてくれた。

そして突然「わしの手首を力一杯つかんでみ」とおれの前に自分の前腕をさしだした。

言われた通り差し出された手首を掴んでみたが 師匠が手を開いて軽く手を動かしたと思ったら 掴んでいた手首はおれの手から抜け出ていた。

これが、八光流柔術で一番最初に習う技「八光捕り」だ。

次に師匠の手首を両手で掴んでも結果は同じだった。

おれは、小学6年の時 相手の手首の骨を人差し指と親指で挟むように掴んで激痛を与える技を編み出していた。
この技を食らった奴らは、この技を「電撃」と名付けて怖れていた。

電撃は、その後社会人に至ってもおれは、護身に役立てていた。
そしてこの技を武道家や格闘家を相手にしても通用するまでに鍛え上げていた。

おれは、その電撃を師匠の手首に掛けてみる事にした。
「食らえ 電撃!」おれは、心で叫んで師匠の手首を両手で掴んだ。


後編に続く