小学生位の子供は、些細な事で直ぐに大声を出して騒ぐ。
元々子供嫌いなおれにとって耐え難い声だったので真剣に辞めようかなと考えた程だった。
やがて子供の大声に慣れた頃 おれは、ある学校の学童保育で一人のでかい声の少年と関わる事になった。
おれは初めよく居る只の大声魔だと思っていたが その少年を妙に他の指導員達が扱い難そうにするので興味が湧いて少し観察していると そいつは実に面白い奴だった。
その少年は三年生だった。
ある日 指導員に反抗して大声で反論しているので何を言っているのか暫く聞いていると 滅茶苦茶言っているようでけっこう筋の通った事を言っている。
そいつと指導員のやり取りは、おれから見て明らかに少年の方が優勢だった。
その日の仕事が終わって指導員達は、お茶を飲みながら話し合っていたが もっぱらその少年の話題だった。
少年ともめていた指導員は、まだ鼻の穴を膨らませて怒っていた。
おれが、ニヤニヤしていると指導員の一人が「この先生ならあの子と気が合うのと違うか?」と言った。
おれは「興味無くは無いですねぇ」と言って残った番茶を飲み干した。
(18)に続く