昨年1月21日、大ファンだった作家の陳舜臣(ちんしゅんしん)氏が90歳で鬼籍に入られたのですが、壮大な中国を舞台にした歴史小説がもう読めないのかと思うと誠に残念で、私は翌日「陳舜臣さんを悼むhttp://ameblo.jp/hajikamijinja/entry-11980123391.html」というブログを書きました。

 

また、1年前の2月26日、NHK大河ドラマの原作となった『天地人』でベストセラー作家となった火坂雅志氏が、急性膵炎(すいえん)のために58歳で亡くなられました。

 

司馬遼太郎氏や陳舜臣氏の遺志を受け継いで、宮城谷昌光氏や安部龍太郎氏に続く歴史小説家として直木賞をとるものだと期待していたのですが、火坂氏の急逝は本当にショックでした。

 

昨年春、NHKの木曜時代劇で、戦国一の傾奇者(かぶきもの)・前田慶次(利益)の晩年を描いた「かぶき者慶次」が藤竜也さんの主演で放映されました。

 

この時代劇は、火坂氏の短編集、『上杉かぶき衆』の第一話「大ふへんもの」を原作としています。そのことは昨年5月の私のブログ「大ふへんもの(大武辺者前田慶次)http://ameblo.jp/hajikamijinja/entry-12022259496.html」で紹介しました。

 

そして、今年のNHK大河ドラマは「真田丸」で視聴率もいいようです。三谷幸喜氏のオリジナル脚本となっていますが、私が思う限り、あきらかに火坂氏の『真田三代』が原作の一つと考えられます。

 

昭和60年4月から翌61年3月まで、水曜時代劇(NHK新大型時代劇)として全45話にわたって「真田太平記」が放送されましたが、池波正太郎氏の同名小説が原作となりました。

 

その時は、信繁(幸村)=草刈正雄、兄・信之=渡瀬恒彦、父・昌幸=丹波哲郎が演じましたが、30年後の今回、「真田丸」では父・昌幸役を草刈正雄さんが演じています。しかも丹波哲郎さんと同じ63歳での役回りで、何か因縁めいたものを感じます。

 

なお、6年前にこの「真田三代」を新刊で購入した時、私は「予想・平成26年大河ドラマは『真田三代』http://ameblo.jp/hajikamijinja/entry-11148099145.html」というブログを書いたのですが、予想はその2年後にずれ込んでしまって、その年は「軍士官兵衛」になってしまいましたが、まんざら外れでもありません!。

 

 

前置きが長くなりましたが、先日公立図書館へ行って、火坂雅志氏の新刊にして最後の遺作となった『左近』上下巻を借りて参りました。

 

左近(さこん)とは、鬼左近の異名で知られる猛将の島左近(清興)のことで、石田三成麾下(きか)の侍大将として、関ケ原の合戦では舞兵庫(まいひょうご)とともに獅子奮迅(ししふんじん)の活躍をして、華々しく散るんですよね!。

 

島左近は、大和守護・筒井順慶(つついじゅんけい)、次いで秀吉の弟で大和大納言・豊臣秀長(とよとみひでなが)に家老として仕えるのですが、いづれも主の死去後主家を辞し流転の身となります。

 

後に、三成に三顧の礼(さんこのれい)をもって迎えられ、2万石という破格の高禄を食む側近として仕え、「治部少(三成)に過ぎたるものが二つあり 島の左近と佐和山の城」と謳(うた)われました。

 

当時の三成の禄高4万石のうちの半分を与えられるという破格の待遇であったという逸話もありますが、もっとも、島左近が石田三成に仕えたのは、三成が佐和山19万石の城主になってからという説もあります。

 

なお、「○○に過ぎたるものが二つあり」という狂歌は、家康のものを後年真似たものです。

 

つまり、三方ヶ原の戦いの前哨戦となる一言坂の戦いで、家康に過ぎたるものが二つあり 唐(から)の頭(かしら)に本多平八という本多忠勝(平八郎)の武功を称える狂歌・落書が登場しました。これは武田家の武将・小杉左近が書いたと言われています。

 

「本多平八」は徳川四天王の本多忠勝のことで、「唐の頭」とはヤクの毛で作られた兜のことで、中国四川省やチベット原産(つまり「唐」原産)の日本では珍しい品でした。一説に寄れば家康は難破した南蛮船からこれを入手し、愛用していたといいます。

 

 

それで、小説の下巻の最後のページは<未完>で終わります。

 

つまり、クライマックスである天下分け目の関ヶ原の戦いを前にして擱筆(かくひつ=筆を置いて書くのをやめること)しています。

 

 

この作品は、月刊誌『文蔵』の平成19年10月号から平成26年12月号まで『鬼人の如く』として連載され、作者の急逝によって未完に終わった長編ですが、『左近』に改題して出版されました。

 

最後まで読めないのは非常に残念ですが、それを補うかのように、文芸評論家の縄田一男氏が18頁(ページ)にわたって解説を加えています。

 

 

氏の解説の最後に、「なのに、何故、これからというときに彼は逝かなければならないのか。私は神を恨まずにはいられない。」で締めくくられています。

 

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